少子化、都会志向で学生減 奄看と議員ら意見交換

2020年11月11日

政治・行政

校内を視察する奄美市議ら議員有志=9日、同市名瀬

校内を視察する奄美市議ら議員有志=9日、同市名瀬

 学生減少が続く奄美市名瀬の奄美看護福祉専門学校(向井奉文校長、159人)の現状を知ろうと、市議有志らが9日、同校を訪問し、職員らと意見交換した。学校側は高校生へのPR活動の在り方に悩む状況を訴えたほか、議員からは奄美群島振興交付金活用などの提案もあった。

 

 市議の呼び掛けで、永井章義県議や大和村議、龍郷町議も参加した。寺師敬子副校長らが在学状況や学科の特性を説明した。

 

 看護学科は3学年とも定員(40人)前後の学生が在籍している。一方、こども・かいご福祉学科は全3学年で11~18人と定員40人を大幅に下回る状況が続いている。

 

 学校側は、少子化や高校生の都会志向を要因に挙げながら「奄美大島以外の群島からの入学が減っている。各島の高校生への広報ができたら」「都会の学校を中退後、島に戻ってきた人のための進学・就職相談窓口を自治体に設置してほしい」と求めた。

 

 こども・かいご福祉学科は近畿大学九州短大通信教育部に同時入学可能なダブルスクール学習システムを取り入れ、介護福祉士と保育士、幼稚園教諭の3資格を取得できるのが特徴。看護学科では、卒業生が県立大島病院の救命救急センターでフライトナースとして活躍している事例が紹介された。島内5市町村の通学費補助など、さまざまな行政支援制度も設けられている。

 

 議員からは、独自のカリキュラムやきめ細かな指導など、特色ある教育活動のPRに力を入れるべきとの声が聞かれた。意見交換会発起人の西公郎市議は「奄振交付金のソフト事業を活用できないか。互いに知恵を出し合い、学校の維持存続に向けて国や県へ要望していけたら」と話した。

 

 同校は旧名瀬市が誘致して1995年4月に開学した。県外出身者や社会人の入学も多い。これまで1925人が卒業し、医療、介護、福祉など多分野で活躍している。今年3月卒業生の進学・就職率は100%。