消防団の定年制廃止へ 3月議会に条例改正案上程 団員減少など背景/奄美市

2019年02月19日

政治・行政

地域防災の要として活動する奄美市消防団(写真は出初め式)=1月6日、同市名瀬

地域防災の要として活動する奄美市消防団(写真は出初め式)=1月6日、同市名瀬

 消防団員の確保につなげようと奄美市は19日開会の3月議会定例会に、市消防団(平井雅人団長)の65歳定年を廃止する条例改正を提案する。定年制は2009年度に導入していた。大島地区消防組合消防本部は充足率向上に期待を寄せるとともに、「地域に消防団員が存在するだけで住民の安心感につながる。後輩たちに経験を伝えるのも役割の一つ」と語った。

 

 市消防団は16分団あり、19年1月1日現在、定員452人に対して396人が所属する。最年少は23歳。30、40代が全体の約6割を占めるが、60歳以上の団員も8%在籍している。

 

 定員に対する充足率は87・6%。09年度は91・8%を維持していたが、定年制導入後は徐々に減少している。また、全国平均91・3%、県平均92・6%のいずれも下回る(18年4月1日現在)。

 

 全国の状況をみると、団員の定年制を設けている自治体の割合は25%。17年7月には社会情勢の変化や団員減少を背景に国から制度撤廃を促す通知が出された。これらを踏まえ市側は各分団との話し合いを進め、廃止の方針を申し合わせた。

 

 消防団は消火活動や行方不明者の捜索、台風時の避難誘導、広報など活動の幅が広く、地元の地理や状況にたけた団員らは地域防災の中核を担う存在ともいえる。大島地区消防組合消防本部は「今の時代、65歳はまだ若い。まずは充足率を90%に戻すことを目標にしたい。団員も随時募集している」と話した。