県が公共工事で環境保全に評価、全国初

2019年02月04日

政治・行政

環境保全への取り組みが評価された役勝川の施工現場=2日、奄美市住用町

環境保全への取り組みが評価された役勝川の施工現場=2日、奄美市住用町

 県は奄美大島と徳之島の2020年の世界自然遺産登録実現を見据え、公共工事の成績評価の際に、施工業者による外来種駆除や防除など環境保全の取り組みを評価する仕組みを設けた。土木部によると全国初の試みで、19年以降に完了する工事が対象。大島支庁管内では1月末までに、奄美市住用町の役勝川総合流域防災工事で外来植物の駆除を行った1社を評価対象とした。

 県は公共工事の評価基準となる「工事成績評定」について、離島を多く抱える地域特性なども勘案し、16年度から改定作業を進めてきた。施工管理や工事中の安全対策、適正な労働環境の維持、完了後の出来栄えや品質などが重視されるが、環境保全への取り組みも地域貢献の一環として評価する。工事成績評定で配点される35点のうち、環境保全に取り組むと0・33点が加点される。

 新たな評定方法の対象となった役勝川の改修工事は河川拡幅などが主な内容。外来種駆除を行ったのは赤穂産業株式会社(本社・奄美市名瀬)で、昨年6月ごろ環境省が緊急対策外来種に指定しているアメリカハマグルマを工事現場近くで駆除した。

 同社の平山博教現場代理人は「環境保全の一助になったと聞き、うれしく思う。役勝川はリュウキュウアユの生息地でもあり、水質汚濁防止のためフェンスも設置している。今後も環境保全への意識向上に取り組みたい」と話した。

 県土木管理課は「奄美の世界自然遺産登録については、官民一体で取り組むべき問題。公共事業実施時の環境保全策を評定対象としたことで、業界を通じて地域への浸透が図られるのではないか」としている。