「できること」模索続く コロナ禍、時短営業1カ月 苦境長引く奄美の飲食店

「第三者認証店」屋仁川通り第1号のレストパブTears。濵﨑代表は「できることをやっていくしかない」と語った=15日、奄美市名瀬

 新型コロナウイルスの影響が長期化する中、鹿児島県への「まん延防止等重点措置」適用などによる飲食店の時間短縮営業が始まって20日で1カ月となった。7月下旬以降、感染者の確認が相次ぐ奄美でも、警戒感の高まりとともに繁華街では客足が遠のき、飲食店などの苦境は続く。各店舗では手指消毒やマスク着用、換気といった従来の感染対策に加え、県が推奨する「第三者認証制度」の活用など、それぞれができることの模索を続けている。(向慎吾)

 

 政府は8月20日、鹿児島県を含む10県にまん延防止等重点措置を適用。県は鹿児島、霧島、姶良の3市を措置の対象区域としたほか、奄美を含む全市町村の飲食店に営業時間の短縮を要請した。県は8月13日に独自の緊急事態宣言を発令しており、感染者が急増した徳之島3町では同月16日、喜界町では同月18日から県の要請で時短営業が始まっていた。重点措置は当初9月12日までだったが同30日まで延長され、これに伴って県の緊急事態宣言も継続。県内全市町村の飲食店が対象の時短営業要請期間も30日までとなった。

 

 奄美市名瀬の繁華街・屋仁川通り(通称・やんご)でも、多くの店舗が要請に応じて時短営業や臨時休業している。居酒屋の中には昼も営業して弁当の販売に力を入れたり、少しでも売り上げ確保につなげようと夜の開店時間を早めるなど、試行錯誤する動きが見られる。

 

 屋仁川通りにある「レストパブTears(ティアーズ)」(濵﨑仁志代表)は、第三者認証制度に申請し、今月6日付で認証店として認められた。同通りでは認証第1号。濵﨑代表(48)は「感染対策をより徹底することで、地元の方や観光客に安心して利用してもらいたい。やんごでも認証店が増えればと、いち早く申請した」と語る。

 

 各テーブルやカウンターに飛沫(ひまつ)防止のアクリル板を設置したり、カラオケで使用するマイクを毎回消毒するなど、感染対策を続けてきたが、認証を受けるに当たって新たに空気清浄機を増台したほか、非接触型の顔認証検温器を導入。最大90人の客席数は、密を避けるために30席にまで減らした。

 

 濵﨑代表は「売り上げはコロナ禍前から9割減。ほかに経営していた2店舗は昨年閉めた。先はまだ見えないが、できることをやっていくしかない」と前を向く。

 

 第三者認証制度は、感染対策のうち、37項目の基準を満たした飲食店を県が認証してお墨付きを与えるもの。山梨県が昨年7月から先行実施して成果を挙げたことから「山梨モデル」と呼ばれる。国は今年4月、山梨モデルを参考にした制度導入の検討を全国都道府県に要請。店側の自己申告とは違い、担当スタッフが現地を訪ねてチェックするのが特徴で、認証店には店頭などに掲示できる認証ステッカーが交付される。店名は県のホームページでも公表している。

 

 認証店はまん延防止等重点措置適用期間でも、感染防止対策強化区域でなければ通常営業が可能というメリットもあるが、感染への恐れもあって来客が見込めない現状では、認証制度の効果に懐疑的な見方もある。県内の認証店は10日現在、584店。このうち奄美群島内の認証は5店にとどまる。事務局によると、現在9店が申請中という。

 

 名瀬でスナックを経営する60代女性は「対策をどれだけ徹底しても、感染のリスクはゼロではない。島では特に人の目を気にするから、今の状況では認証店になってもお客さんが増える見込みはない」と語り、「時短営業への協力金だけではやっていけない。周りの店もみんな限界だと言っている。とにかく早くコロナが収まるのを願うだけ。時短営業要請に応じられるのも今回まで」と話した。