「境界のしま・奄美」出版 多様性に富み、深い地域 国境地域センター

出版の意義を説明する岩下氏=27日、南海日日新聞社

 特定非営利法人国境地域センター(本部・愛知県名古屋市)は11月、ブックレット「知られざる境界のしま・奄美」(編著・平井一臣鹿児島大学教授)を出版する。編集長の岩下明裕・北海道大学教授が10月27日、南海日日新聞社を訪れ、「奄美は中世以降、境界に翻弄された地域。多様性に富み、深さもある。奄美の皆さんもボーダー(境界)問題を一緒に考えてほしい」と述べた。

 

 本書は①奄美に行こう②「境界領域」としての奄美史③変動する境界―南西諸島の分軸④復帰後奄美のボーダーと社会―の4章と、5本のコラムで構成した。編著者の平井氏は①で奄美の自然や文化、歴史を分かりやすく解説。④では復帰後、「本土化」の波の合間に頭をもたげる「沖縄のつながり」も考察。コロナの状況にも言及した。

「知られざる境界のしま・奄美」

 ②は奄美博物館の高梨修館長が執筆。島尾敏雄の歴史学視点や複雑な奄美通史を解説し、教科書に描かれている「日本史」と異なる奄美史を取り上げた。③は太平洋戦争をめぐる国境の変動を考察した。コラムも「『密航』と『密貿易』の境界」「米軍基地の島、沖永良部」「映画フィルム『ニライの海』との出逢い」など興味深いテーマが並ぶ。

 

 バラエティーに富み、ディープな境界の島・奄美を紹介し、奄美の今を考える一冊だ。

 

 本書は税込み990円。http://hup.gr.jp/modules/zox/北海道大学出版会。