「対馬丸の悲劇伝えて」 沖縄の記念館が宇検村に紙芝居寄贈

 

対馬丸記念館の髙良理事長(中央)から紙芝居を受け取った元山村長(左)ら=12日、宇検村役場

    太平洋戦争中に多くの学童が犠牲となった対馬丸撃沈事件を子どもたちに語り継ごうと、沖縄県那覇市の対馬丸記念館はこのほど、学習教材用の紙芝居2作を制作した。うち1作は、生存者の救護や遺体の埋葬に当たった宇検村の歴史を伝えるもの。12日は事件の生存者で同館の髙良政勝理事長と学芸員ら5人が宇検村役場を訪れ、「平和教育に役立ててほしい」と紙芝居を贈呈した。

 

 対馬丸は1944年8月21日、学童や一般疎開者ら約1700人を乗せて沖縄県那覇港を出港。翌22日、鹿児島県悪石島沖で米潜水艦ボーフィン号の魚雷攻撃を受けて沈んだ。判明分だけで学童約800人を含む1400人以上が犠牲になった。

 

 わずかな生存者と多くの遺体が宇検村や大和村、瀬戸内町に流れ着き、住民が救護や埋葬に当たった。同村宇検集落は犠牲者を悼み史実を後世に伝えようと、村の協力も得て2017年3月に船越(フノシ)海岸に慰霊碑を建立し、毎年慰霊祭を行っている。

 

 紙芝居は対馬丸記念館の平和学習補助教材の制作事業の一環として、小学校低学年と高学年向けの2作品を計10冊制作した。高学年向けは「対馬丸へのいのり~宇検村 対馬丸いれいひをたずねて」の題で、宇検村の小学生が慰霊碑をきっかけに地元の歴史と平和の尊さを学ぶという内容。

 

 作者2人は昨年宇検村を訪れ、当時を知る宇検村宇検の大島安徳さん(94)らを取材。紙芝居には大島さんも登場する。

 

 同館の外間功一学芸員(25)は「奄美の子どもたちの教育活動の一端を担えるのは光栄。身近な場所から平和について考えてもらえれば」と期待した。

 

 紙芝居は村教委が保管し、希望する村内の学校へ貸し出すという。元山公知村長は「温かな絵の紙芝居で、平和のメッセージが子どもたちにも伝わりやすいと思う。地元の歴史に改めて心動かされた。今後も沖縄との縁を大切にしていきたい」と話した。