コロナ感染拡大続く徳之島 2学期開始を危ぶむ声も

保育園児らから届けられた千羽鶴。医療従事者からは「とても励みになった」と感謝の声が上がっている=24日、徳之島町亀津の宮上病院

 徳之島では、伊仙町で新型コロナウイルスの感染者1人が確認された8月9日以降、感染拡大が続いている。24日の3町の発表によると9日以降の島内全体の感染者は合計177人に上る。島内唯一の総合病院である徳之島徳洲会病院でのクラスター発生や、濃厚接触者が多数確認された徳之島地区消防組合天城分遣所の閉鎖など、約2週間のうちに島民の安全を担う施設にも影響が及ぶ事態に陥っている。島内の医療従事者は「これまでの経験から10日程度で収まると予測していたが、今回は違う」と警戒を強めている。

 

 ■院内感染が拡大

 

 徳之島徳洲会病院で院内感染が確認されたのは月遅れ盆の送り日だった15日。患者や看護師計7人の陽性が確認された。既に島内全医療機関での面会を禁止、3町で独自に設定している徳之島新型コロナウイルス警戒レベルが最高の「5」に引き上げられるなど警戒が強められた中での院内感染だった。

 

 院内感染を受け、同病院は通常外来を休止するなど診療体制を制限。16日以降毎日、ホームページで院内での検査結果と感染状況を発表するなど島民の不安解消に努めている。22日からは自宅療養中に容体が悪化した患者の受診、入院の受け入れを再開するなど従来の診療体制に戻りつつあるが、同病院の発表によると、24日までの感染者数は、患者や職員計54人に達している。

 

 ■2学期が心配

 

 島内の医療従事者の女性(40代)が電話取材に応えてくれた。中学生の子どもがいるという女性は「まず保護者の立場から」と前置きした上で、「今一番心配なのはこの状況のまま2学期が始まること。子どもたちに感染が広まったらと考えると怖いが、2学期の開始を遅らせるなど連絡はまだない。夏休みはあと1週間しかない。学校は早めに決断してほしい」といら立ちを込めた。

 

 女性は現在の島内の医療現場についても言及。「スタッフも人間。感染を恐れてコロナ対応の職場を避けたがる人、仕事自体を辞めたいと言う人もいる。そんな中でみんなが毎日残業してようやくシフトを回している」と苦境を伝え、「食材の買い出しもできるだけ早く済ませたり、家庭でもマスクを着用するなど、個人の対策も強化する必要がある。都会でも田舎でもウイルスの感染力は一緒。自宅療養のまま亡くなるなど悲惨なことが徳之島でいつ起きてもおかしくない状況だと理解してほしい」と対策強化の必要性を訴えた。

 

 ■今こそ島一丸で 感染拡大が収まらない一方で、ウイルスに立ち向かう足並みも少しずつだがそろいつつある。クラスターが発生した徳之島町ではほとんどの飲食店が営業を自粛。町は医療従事者の家庭内感染を防ぐため、医療従事者専用の宿泊施設5部屋を緊急に確保し、23日から供用を開始した。

 

 町内の保育園児と職員からコロナ対応に尽力している医療施設、保健所に感謝を伝える千羽鶴が届けられるなど心温まる一幕もあった。

 

 開業助産師でNPO「親子ネットワークがじゅまるの家」理事長の野中涼子さん(45)は「ただでさえ大変なのにコロナへの恐れも重なって相当不安を感じているはず」と妊婦を気遣い、「病院関係者は大変な中でも命を守るために奮闘している。今は力を結集してオール徳之島でやれることをやるしかない。妊婦に限らず子育てで不安を抱えている人は連絡してほしい」と呼び掛けた。

 

 同NPOへの問い合わせは電話0997(82)0660。