与論、医療・介護体制の充実へ  人材育成専門員に末永さん配置

「島の人々がすることをつないでいきたい」と話す末永さん=13日、知名町

 与論町はこのほど、町の在宅支援人材育成事業を推進する「在宅支援人材育成専門員」として、認定看護管理者の末永真由美さん(58)を配置した。末永さんは事業を受託した町社会福祉協議会に所属。島の医療、介護体制の充実を目指し、組織間のパイプ役となり、人材育成も担う。

 

 末永さんは3月に鹿児島市の訪問看護ステーションを退職し、4月1日付で社協に赴任した。赴任早々、沖永良部島・知名町での新型コロナウイルスクラスター(感染者集団)発生を受け、県からの派遣要請で沖永良部島支援へ。5月6日から19日までの予定で、療養施設の常駐看護師として、療養者の体調確認、入・退所のサポート、メンタルケアなどを行っている。

 

 奄美群島との縁は深く、2018年4月から1年3カ月間、徳之島病院に勤務し、沖永良部、与論両島の精神科医療の充実に尽力した。与論島には昨年7月、新型コロナのクラスター発生を受け、県看護協会からの派遣で来島。約2週間、支援活動に従事した経験もある。

 

 「具体的なミッションはなく、とにかく必要なことをしてきなさいという指示だった。行ってみると、デイサービス、入浴など通所系サービスが全部ストップし、先が見えない不安の中にいた。職員が安心して働け、利用者が安心してサービスを受けられるという視点で臨んだ」と当時を振り返る。

 

 地元の役場、地域包括支援センターなどと協力して、どの職種に何人足りないかを調査。保育施設を再開できれば、自宅で子どもを見ていた保護者が働くことができ、人は足りるということが見えてきたという。

 

 現場の職員からは、夏の暑い時期だったため、利用者の体の清潔が最も心配だとの声が聞かれた。職員と話し合いながら、風呂の感染防止対策を徹底し、数日後に入浴サービスの再開にこぎ着けた。

 

 在宅支援人材育成専門員としての勤務は2年間。末永さんは「島で私がする、というつもりは全くなくて、必要とされているところに、私ができることがあればお手伝いしたい。もともと与論を含めて奄美群島は『結』の心で結ばれているというか、つながっている。私は島の方々がするのをつなぐ役割なのかと考えている。前例がないので、みんなで話し合いながらつくっていけたら」と抱負を語った。

 

 在宅支援人材育成事業は、町、医療機関、介護施設などが連携し、医療従事者のスキルアップを図りつつ、医療・介護体制の充実を目指す町単独の事業で2021年度に始まった。

 

 町役場町民福祉課は「与論町ではこれまで、長年にわたり町の医療体制を支えたパナウル診療所が廃院になり、医療資源の脆弱(ぜいじゃく)な状況が危惧されるところ。離島というハンディから、町の看護師はなかなか研修に行けず、高度な医療や看護技術に触れる機会も少ない。スキルの高い認定看護管理者から、常に身近で指導してもらえることは非常にありがたい」と期待している。