世界遺産拠点、今夏誕生へ 奄美大島 自然の価値、魅力を発信

「世界遺産管理拠点施設」(仮称)の完成予想図(図は全て環境省提供)。木造平屋建ての本館は約582平方メートル。展示室やエントランスホール、物販店舗などを備える

鹿児島県奄美大島で2022年夏、「世界遺産管理拠点施設」(仮称)が誕生する。「生命のにぎわいに包まれる―奄美大島フィールド探索型ミュージアム」をコンセプトに、来訪者や地元住民が楽しみながら、自然の価値や魅力に触れられる施設を目指す。21年7月に世界自然遺産に登録された「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」。=世界の宝=となった貴重な自然を守り、未来へ継承するための総合拠点として期待が高まる。

 

拠点施設は、環境省が奄美市住用町の「黒潮の森 マングローブパーク」に隣接する市有地に整備する。総事業費は約7億5000万円。2021年8月に本体工事が始まり、建設が進んでいる。建物は22年3月末の完成を予定。8月ごろのオープンを目指す。

 

メインとなる約318平方メートルの本館展示室には、照葉樹の森のジオラマに、アマミノクロウサギなど希少な動植物の模型やはく製を配置し、動画などで生態を紹介。周囲の壁面には季節や昼夜で移り変わる自然の映像が映し出され、森を散策しながら生き物を探すように、豊かな自然を疑似体験できる。

 

隣接するマングローブパークは旧住用村が01年7月に整備した自然回帰型の交流・観光拠点施設。近くには絶滅危惧種のリュウキュウアユが生息する住用川が流れ、国内で西表島に次いで2番目に広いマングローブ原生林が広がる。マングローブ内を周遊するカヌー体験が人気の観光スポットとして知られている。

 

世界遺産の森が広がる島中南部へもアクセスしやすく、新たな施設の誕生で、新型コロナ収束後は多くの観光客でにぎわいそうだ。

 

環境省奄美群島国立公園管理事務所の阿部愼太郎所長は「山に出掛ける前に、自然の感覚を味わってもらえる施設。島の自然を知るきっかけとして、地元の人にも来てもらいたい」と話した。

 

徳之島では、環境省が徳之島町花徳に「世界自然遺産センター」(仮称)を整備する方針。23年度の着工を予定している。