奄美陸自 配備2年(上) 立地2市長、隊員移住で集落に活気 税収増、財政上の恩恵も

2019年3月、奄美市名瀬大熊に開設された陸上自衛隊奄美駐屯地の正面ゲート(20年10月1日撮影)

  奄美市名瀬大熊と瀬戸内町節子に陸上自衛隊の駐屯地、分屯地2019年春に開設され2年が経過した。隊員用の官舎が整備された集落は人口が増え、自治体レベルでは住民税など財政面の恩恵がある一方、ミサイルなどが配備された陸自施設が他国の攻撃対象となることを懸念する市民団体には根強い反対論もある。4月に奄美大島を訪れた岸信夫防衛相は、日本の南西海空域で行動を活発化させる中国に警戒感を示しており、防衛省は今年度、奄美駐屯地に新たな部隊を配備する計画もある。関係者に陸自施設の開設をどう受け止めているかを聞き、今後の方向性などを展望した。

 

 陸自2施設の開設に伴い、奄美駐屯地に350人、瀬戸内分屯地に210人の隊員が配備された。家族と共に異動してきた隊員もおり、20年度の住民税は陸自関連だけで、奄美市で7000万円、瀬戸内町で3700万円それぞれ増えた。また両市町とも基地周辺対策事業を活用し、食肉センターや一般廃棄物し尿処理施設など、住民生活に関する施設整備も行っている。

 

 両市町の財政担当者は「陸自施設が開設されなければ無かった税収。周辺整備も合わせて行うことができ、陸自施設の開設による財政面の効果を感じている」と受け止める。

 

 瀬戸内町東阿木名集落には、家族と一緒に赴任した瀬戸内分屯地の隊員が暮らす官舎がある。分屯地が開設された19年3月以降、官舎には約60世帯130人が移住し、集落の人口は340人へ急増した。阿木名小中学校の児童生徒数も19年度は前年度比10人増の85人となり、集落は活気があふれているという。

 

 同集落の嘉原篤己区長(76)は「自衛隊の家族は子ども会活動やボランティア清掃など、いろんな行事に積極的に参加してくれている。若い世代が増え集落が明るくなった。南西諸島防衛の要である部隊の役割を、住民に知ってもらう機会を増やすことで、住民と隊員の距離がより近くなると思う」と語る。

 

 「人口の減少幅が減り、阿木名の官舎に住む隊員を中心に町内で買い物や飲食をしてもらい、商工業者が恩恵を受けた」と話すのは瀬戸内町商工会の政岡博重会長(60)。新型コロナウイルス感染拡大前の昨年春ごろまでは、週末の夜になると隊員が古仁屋を訪れ、にぎわいを見せていたという。

 

 昨春から続くコロナ禍で隊員はもちろん、地域住民の多くが外出を自粛。町内の商工業者の苦境は続いている。「こんな時期だから自粛は仕方ない。隊員の皆さんはコロナが収束したら、以前のように町に足を運んでほしい」と話した。