感染者累計204人に 来島増一因か、家庭内拡大も 奄美市

 8月に入り、奄美市でも新型コロナウイルスの感染が急拡大している。21日現在の月別感染者数は最多の72人に達し、昨年4月からの累計は204人と200人を超えた。月前半は若年層中心だったが、中旬以降は家庭内感染の増加とともにほぼ全年齢層へ広がった。累計数には反映されていないものの観光客や帰省客の感染も確認されており、行政は「島内の医療提供体制の逼迫(★ひっぱく)は最高度」と警戒を強めている。

 

■□市中感染が拡大

 

 月別の感染者数は昨年が▽4月2人▽12月7人。今年は▽1月19人▽4月27人▽5月65人▽6月7人▽7月5人▽8月21日現在72人│と推移している。

 接待を伴う飲食店でクラスター(感染者集団)が発生した4、5月と同水準で8月も増加しているが、大きく異なるのは感染経路不明のケースを含め、各地で感染事例が多発している点だ。もはや市中感染が広がっているといってもいい。

 市健康増進課によると、8月当初の感染者は20、30代が7割を占めた。しかし来島者が増えた中旬以降は家庭内感染が拡大したこともあり、乳幼児から50、60代まで幅広い年代層に広がった。70、80代でも感染が確認されている。

 徳永明子課長は「夏休みやお盆などで人の往来が増え、少人数での断続的な感染が続いている。小さい単位での飲食など感染リスクの高い行為があったのではないか」と推測。

 医療体制が脆弱(★ぜいじゃく)な離島では感染が相次ぐことで体制崩壊を招きかねず、天候が悪化する台風シーズンは本土搬送にも影響を及ぼす恐れがある。徳永課長は「医療機関や宿泊療養施設の受け入れ体制もぎりぎりの状態」と厳しい表情を浮かべる。

 さらに感染者の増加とともに濃厚接触者も急増している。濃厚接触者と判断されると2週間の健康観察が必要になることから、仕事を休むなど社会生活への影響も少なくない。

 

■□2回接種は5割弱

 

 17日現在の新型コロナワクチン接種状況をみると、65歳以上高齢者の接種率見込みは1回目89・1%、2回目86・4%と高水準に達している。

 一方、16~64歳は1回目62%に対し、2回目47%と5割にも満たない。

 徳永課長は「2回目が低いのは予約忘れなのか、1回目の接種で副反応が出てためらいがあるのか分からないが、十分な免疫をつくるには2回接種が大切」と強調する。

 ワクチン効果として重症化リスクの低減、高い発症予防効果を挙げた上で「現場の医師からは、接種後に感染しても軽症で済むケースが多いという話も聞く。希望者は早めに予約してほしい」と訴えた。

 

■□異例の「来島自粛要請」

 

 奄美大島全域に目を向けると、8月は龍郷町の障がい者施設でクラスターが発生。大和村や瀬戸内町も数カ月ぶりに感染が確認された。宇検村を除く4市町村へ広がっている状況だ。

 これらを受けて島内5市町村は18日、島独自に設定した警戒レベルを5段階中、最高の「5」に引き上げた。

 併せて5首長は同日、不要不急の「島外からの来島」と「島外への往来」を控えるよう求める共同メッセージを発出した。来島自粛要請まで踏み込んだのは強い危機感の表れだ。

 ただ徳永課長は「不安をあおっているわけではなく、気を緩めずに落ち着いて生活することが大事。家庭内に持ち込まないよう、しっかり対策を取ることを意識してほしい」と呼び掛けた。