沖縄上回る「爆発的感染」 奄美大島、医療現場は急逼迫 病院職員も次々濃厚接触者に

奄美群島で医療の中核を担う県立大島病院=11日、奄美市名瀬

新型コロナウイルスの爆発的感染拡大に伴い、県立大島病院(奄美市名瀬)をはじめとした奄美大島の医療体制が逼迫(ひっぱく)している。大島病院の試算によれば、9日までの1週間、人口10万人当たりの新規感染者数は奄美大島513・7人、奄美市626・5人。全国的に注目される沖縄県の453・8人を上回っている。「重症化しなくても軽視はできない。逼迫する医療の実情を知ってほしい」と現場から声が上がる。

 

人口10万人当たりの新規感染者数(3~9日)は、同院救命救急センターが県の日報統計などを基に試算した。鹿児島県全体で見れば30・97人と、沖縄など国のまん延防止等重点措置対象3県を下回る。

 

「都道府県単位の数字では、地域の実情が見えてこない」と語るのは、髙間辰雄センター長。昨夏の新型コロナ第5波を振り返り「徳之島町では一時期、人口10万人当たりの新規感染者数が当時、世界最悪のマレーシア(約400人)を超えていた」と指摘する。

 

多様な診療科で医療を提供する同院は、ドクターヘリも運用し、群島内外から重症・重篤患者を受け入れる離島地域医療の「最後のとりで」。髙間医師は「コロナ対応に追われて本土搬送が増えれば、救命率が下がりかねない」と懸念を示す。

 

夜間の電話相談に人員が割かれ、救急病棟の運用率を抑えている。今後の感染状況次第で入院制限が掛かれば、軽症患者の初期救急や24時間急患対応を他院に頼らざるを得ないが、「どこも人員的な余裕はない。現状の救急体制は簡単に崩せない」と語る。

 

年明け以降の新型コロナ感染急拡大について、同院総合内科部長の森田喜紀医師は「4日から同時多発的に感染者が出始め、異様な速さで広がった。大島病院の職員も次々と身内が感染、濃厚接触者となり、医療現場の人手がどんどん減っていった」と語る。

 

森田医師によると、4日、発熱を訴える患者が2桁単位で来院し、大半が新型コロナに感染していた。5日には感染疑いの紹介来院も増え、前日の2倍以上となる新規患者がすべて陽性。以来、島内の医療機関総出で対応し、8日に県独自の緊急事態宣言が出された。

 

今月3日まで1週間の島内感染報告はわずか数件。森田医師は「県内でも報告が増えている変異株のオミクロン株は潜伏期間が短く、感染力が強い。大半は肺炎を発症していないが、まだ高齢や持病を伴う感染事例が少なく、決して『重症化しにくいから大丈夫』とは言い切れない」と気を緩めていない。

 

さらに「社会機能を保持できるよう職場での感染予防策、家庭での体調管理に努めてほしい」と指摘。続けて「経済、教育活動の再開に向け、社会全体で感染対策に取り組むことが望まれる。地域の安全安心のため、今後の検査体制の拡充、ワクチン接種の円滑な実施などに期待したい。大島病院も引き続き十分な医療が提供できるよう取り組みたい」と語った。

(西谷卓巳)