自然観察の森、今春にも完成 持続的観光見据え、再整備   龍郷町

完成が近付く拠点施設「森の館」=21年11月29日、鹿児島県龍郷町の奄美自然観察の森

鹿児島県が2016年に策定した持続的な観光のための観光管理方針「奄美群島持続的観光マスタープラン」に基づき、17年から奄美大島の龍郷町が5カ年計画で推し進める「奄美自然観察の森再整備事業」。21年度内の完工を目指しており、世界自然遺産登録で増加が見込まれる観光客の受け入れを整えるべく、工事が本格化している。

 

同事業は、マスタープランで掲げる「地域の特性に応じた利用の計画的誘導」「地域全体への遺産登録効果の波及」「質の高い観光の実現と利用者満足度の向上」を軸に、▽奄美の森林を手軽に体験できる場▽多人数での利用も可能―をコンセプトに整備が進められている。

整備された展望デッキからの眺め=21年12月3日

21年11月末時点、老朽化が進んでいた展望台「ドラゴントリデ」「パノラマトリデ」(2基)、遊歩道「ボードウォーク」、龍郷湾などを望む「展望デッキ」、休憩所「あずまや」(1棟)は改修を終え、池・せせらぎやアコウの大木を観察する木道、ピクニック広場が整えられた。

 

施設の拠点となる「森の館」は、20年10月に施設入り口側の駐車場横に移転済みで、内装工事の完了も近づく。雨天でも楽しめるようにと新設された展示スペースでは、観察の森が位置する長雲峠周辺を中心に、奄美群島の自然の成り立ちや四季の移ろい、動植物について、写真や解説パネル、映像、標本、はく製、タッチパネル式の学習コンテンツなどで紹介する。

アコウの大木を観察する来場者=21年12月3日

また、来場者の満足度の向上と展示ガイド運用の効率化を図るため、館内にWi‐Fi(ワイファイ)を整備し、ビーコン(近距離無線通信技術)を活用したアプリを導入。来場者が所有するスマートフォンやタブレット端末にアプリをダウンロードすると、展示解説や位置情報が取得できるほか、森で見られる動植物や季節に応じた情報が届けられる仕組み。英語などに対応。

 

今後、工事が進められるのは、旧昆虫小屋の改修を含めた野鳥の観察小屋2棟、入り口ゲートの撤去および園名板の設置、施設道路の拡張、遊歩道のバリアフリー化(一部)の整備となる。

町企画観光課は「豊かな自然を壊すことなく、環境保全と持続的な観光利用の二面のバランスを保った施設の運営を目指していきたい」と、完成を目前に期待を込める。

 

◆奄美自然観察の森(龍郷町円1193) 2017年3月に指定された奄美群島国立公園内にある森林公園。敷地内には遊歩道が整備され、奄美固有の植物や鳥、昆虫などを観察しながら散策できる。樹林性の野鳥が多く生息し、愛鳥家から、奄美の3大野鳥観察スポットの一つとして親しまれる。展望台「ドラゴントリデ」からは東シナ海が一望でき、好天には、湯湾岳や喜界島まで見渡すことができる。