十五夜に家々回って「餅盗み」 与論伝統、トゥンガモーキャ

2020年10月03日

地域

「トゥンガトゥンガ」と言いながら、家庭に用意された箱からお菓子を集める子どもたち=1日、与論町城

「トゥンガトゥンガ」と言いながら、家庭に用意された箱からお菓子を集める子どもたち=1日、与論町城

 旧暦8月15日の1日、与論島の各地で、十五夜の伝統行事「トゥンガモーキャ」が繰り広げられた。子どもたちが「トゥンガトゥンガ」と言いながら家々を訪ね、住民が軒先に用意したお菓子を、持参した袋に詰めて回った。

 

 与論島の方言でトゥンガは「餅」、モーキャは「儲け」を意味し、「トゥンガヌスドゥ(餅盗み)」とも呼ばれる。国指定無形民俗文化財「与論十五夜踊」と同日に行う。

 

 島民らによると、かつては十五夜にお供えした餅を、子どもたちが夜中にこっそり持ち帰るものだったという。現代では、各家庭の庭や軒先に住民がお菓子を入れた箱やお膳を用意し、子どもたちが訪れるのを待つ。子どもたちは「トゥンガトゥンガ」「ありがとうございます」などと言いながら、お菓子をもらっていく。お菓子が無くなることは、家の厄が払われることを意味し、縁起がいいとされている。

 

 1日夕、与論島の住宅街には小学生や中高生が大勢繰り出し、自転車や徒歩で袋いっぱいにお菓子を集めて回っていた。道のあちこちにトゥンガ用のお菓子が置かれ、住民らがにこやかに出迎える姿が見られた。

 

 10軒以上回ったという与論中2年の西村悟空君(14)は「毎年楽しみ。もっと回って集めるぞ」と意気込んでいた。未就学児の子どもに付き添っていた城の会社員女性(38)は「娘たちはあと何回寝たらトゥンガかなと指折り楽しみにしていた。普段訪問しない家もあり、顔を見せ合ういい機会。大事にしたい伝統」と話した。