「中山清美と奄美学」刊行

2019年08月04日

地域

美智代さん(前列左)に「中山清美と奄美学」を手渡す高宮会長。後列は中山氏の親族ら=3日、奄美市笠利町の中山氏自宅

美智代さん(前列左)に「中山清美と奄美学」を手渡す高宮会長。後列は中山氏の親族ら=3日、奄美市笠利町の中山氏自宅

 奄美の考古学研究に尽力し、2016年に死去した中山清美氏をしのんでまとめられた追悼論集「中山清美と奄美学」がこのほど刊行され、3日、発行した奄美考古学会が親族へ同書を贈呈した。中山氏の妻の美智代さん(62)は「懐かしい写真や資料も多く掲載されている。故人も喜んでいると思う」と感謝を述べた。

 中山氏は龍郷町大勝出身。法政大学卒業後、旧笠利町役場に採用され文化行政を担当した。嘉徳遺跡(瀬戸内町)や宇宿貝塚(奄美市笠利町)の発掘調査に携わり「奄美考古学」を定着させた。亡くなる直前まで住民と共に「シマ(集落)学」に取り組み、「奄美遺産」づくりに力を入れていた。14年、南海文化賞(教育・文化部門)受賞。

 同書には中山氏と交流のあった全国の研究者ら74人が寄稿し、研究論文のほか、中山氏との思い出をつづった追悼文もまとめられている。奄美考古学会の高宮広土会長(60)は「考古学にとどまらない功績をたたえタイトルを奄美学とした。奄美に中山清美という素晴らしい学者がいたことを多くの人に知ってもらいたい。特に奄美の若者たちに読んでほしい一冊」と話した。

 同書はA4判620ページ、3500円(税、送料込み)。一般販売は約200部を予定しているが、既に予約が入るなど品薄が予想されており、奄美考古学会は早めの申し込みを勧めている。問い合わせは電話090(5293)7275同会事務局の川口さんまで。