タナカアツシさんのムード歌謡、話題に

2018年05月01日

地域

ライブに訪れた聴衆による即席コーラスと「大島エレジー」を歌うタナカアツシさん=27日 東京都品川区東五反田

ライブに訪れた聴衆による即席コーラスと「大島エレジー」を歌うタナカアツシさん=27日 東京都品川区東五反田

 喜界島にルーツを持つ東京出身のシンガー・ソングライターのタナカアツシさんが歌う「大島エレジー」が首都圏や関西圏に住む奄美群島出身者らの間で話題になっている。2月1日発売のシングルCDも好調な売れ行きだ。「沖縄じゃないの 奄美大島よ 沖縄じゃないの そうよ奄美大島なのよ…」という歌い出し。「伊豆大島じゃないのよ 奄美大島よ…」という歌詞もある。それを昭和歌謡調のメロディーに乗せて歌う。歌声も島唄と昭和歌謡を融合させたような独特の味わいだ。

 

 4月27日、タナカさんの単独ライブが品川区の沖縄料理店「結(ゆい)まーる」であった。ステージは2部構成。1部は「朝花節」で始まり島唄中心。与論島から喜界島までを唄に乗せて紹介したり、琉球音階と奄美音階の違いや三味線(三線)の違いを説明したりもした。

 

 2部は三味線をギターに持ち替えポップな曲が続くステージ。「大島エレジー」では聴衆が即席のコーラス隊を務めた。

 

 ちょうネクタイ姿でコーラス隊の一員となった田鎖秋男さんはバニラエアの機長。「フライトで何度も奄美を訪れ、大好きになった。三味線は私の趣味に。タナカさんの楽曲は歌詞にも魅力がある」

 

 那覇で検事として勤務していた弁護士の三浦正晴さんは「歌に加え歴史や地理、文化も学ぶことができる」とタナカさんの歌とライブを絶賛した。

 祖父が喜界島出身というタナカさん。大島エレジーにはさまざまな思いを込めた。

 

 「いまだに伊豆大島と奄美大島の区別がつかない、奄美が鹿児島県と知らない方々がいる。美しい海は似ていても沖縄と奄美は酒も食もちょっと違う。沖縄は泡盛、奄美は黒糖焼酎。沖縄はソーミンチャンプルー、奄美は油ゾーメン。そんな差異をムード歌謡のメロディーに乗せて作ったのが『大島エレジー』。兄弟島の良さを再認識してもらうきっかけにもなればうれしいね」(東京支社)