世界自然遺産シンポ/徳之島

2018年02月12日

地域

世界自然遺産登録の先進地・知床の事例報告などがあったシンポジウム=11日、徳之島町生涯学習センター

世界自然遺産登録の先進地・知床の事例報告などがあったシンポジウム=11日、徳之島町生涯学習センター

 【徳之島総局】世界自然遺産シンポジウム(徳之島3町主催)が11日、徳之島町生涯学習センターであった。地域住民ら約120人が来場し、第2部では鹿児島大学特任教授の星野一昭氏と公益財団法人知床財団事務局長の増田泰(やすし)氏が世界自然遺産の意義や遺産登録地の状況などを報告。今夏の世界自然遺産の登録に向け、官民協働で持続可能な地域づくりや遺産価値の保全を進めるよう提言した。

 星野氏は、奄美・琉球世界自然遺産候補地科学委員会の委員を務める。徳之島、奄美大島、沖縄島北部、西表島の世界自然遺産登録可否審査を前に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)の調査官が昨年10月に実施した現地視察に同行した。

 星野氏は同行を振り返って「世界自然遺産の価値が評価され、価値を保護する現在の取り組みについて一定の理解が得られた」と見解を示した一方、「遺産登録は出発点。遺産価値を損なわずに豊かな地域づくりに生かしていくためには、地域一体となった取り組みの継続が求められる」と指摘。遺産地域の住民が中心となって人類の宝となる豊かな自然を保全するよう訴えた。

 増田氏は知床が2005年に遺産登録された後、観光客が急増して観光地利用が一極に集中したことや、会員制交流サイト(SNS)による情報の拡散で想定外の場所に観光客が集まったことなども説明した。

 その上で、自然の保全と利用の調和で住民と行政をつなぐ知床財団の役割に触れ、「地域の発展に向けては行政と住民が共通の課題に取り組むことが大切。時に意見の対立も起こるが、共有点と相違点を再認識して、相互に理解する努力が必要」と強調した。

 第1部では、徳之島町立手々小学校と伊仙町立阿権小学校の児童たちが、2016年度から総合的な学習の授業の一環で実施している「子ども版エコツアーガイド」の活動成果を発表。児童たちは「集落の良さを知ることができた」などと述べた。10年前から「島っ子ガイド」に取り組む三重県鳥羽市立神島小学校教諭の廣川清治氏が事例発表し、子どもたちにアドバイスした。