喜界で氷河期サンゴ調査

2014年06月02日

地域

喜界島で隆起サンゴ調査写真20140531 丸山 氷河期に生息していたサンゴの化石から古代の気候変動とサンゴ分布の相関性などを研究している金沢学院大学文化財学科の佐々木圭一准教授(43)らがこのほど喜界島を訪れ、現地調査とサンゴの採取を行った。同島は国内で唯一、氷河期に生息していたサンゴを陸上で調査できる貴重な場所。佐々木准教授は「地球規模で温暖化が進む中、サンゴの化石から過去の気候変動を調べることで、将来の予測にもつながる。地球環境を考える上でも喜界島は重要な場所」としている。
 佐々木准教授によると、氷河期に海面近くに生息していたサンゴのほとんどは、その後の温暖化など気候変動に伴う海面上昇で、現在は水深50~60㍍前後の海中に分布しているが、喜界島は年間約2㍉の速度で隆起を続けており、海面上昇が進んだ現在も氷河期のサンゴが陸上で調査できる貴重な場所という。
 島内の内陸部には当時のサンゴの化石を含んだ地層が点在しており、佐々木准教授は4年前から年代別のサンゴの分布状況などを調査。一定の準備が整ったことから本年度、調査を本格化させた。
 来島したのは佐々木准教授や北海道大学理学部の渡邊剛講師(43)など、国内の大学や研究機関関係者6人による調査チームで、5月21~27日の1週間、4~6万年前に生息していたサンゴの化石採取などを行った。化石の成分や年輪から当時の水温など海面の状況を割り出すほか、気候変動がサンゴの種類や分布変化に与える影響を調べるという。

(写真:志戸桶地区の丘陵地斜面で氷河期に生息していたサンゴを掘削、採取する佐々木准教授(右)ら=5月24日、喜界町)