嘉徳護岸工事公金差し止め訴訟 瀬戸内町

2019年08月31日

地域

嘉徳海岸を視察する鹿児島地裁の裁判官と被告、原告両関係者=30日、瀬戸内町

嘉徳海岸を視察する鹿児島地裁の裁判官と被告、原告両関係者=30日、瀬戸内町

 県が瀬戸内町の嘉徳海岸で計画している護岸工事への公金支出差し止めを求めた住民訴訟で30日、鹿児島地裁の裁判官3人が進行協議として現地を視察した。原告の地元住民、被告の県職員ら計30人余りが参加。原告側は自然の力で砂浜が回復した現状や護岸工事を行うことによる生態系破壊の懸念を主張。被告側は今後起こり得る大規模浸食の危険性を指摘し、工事の必要性を訴えた。

 

 嘉徳海岸は2014年の台風などで砂浜の浸食が進んだため、地元住民が県に安全確保の対策を要望。県は専門家も交えた検討協議会の結論を踏まえ、延長180㍍のコンクリート護岸整備を決定した。工期は今年3月に始まったが、6月に建設現場近くでアカウミガメの産卵が確認されたため、現在は工事を一時中断している。

 

 進行協議では、原告と被告がそれぞれの立場で現場の状況を説明した。

 

 原告側は14年の大規模浸食について、川の流れを変える工事を行ったのが要因と主張。原告の1人で同集落住民の松本晋平さん(43)は「浜の中に人工物を造ってしまうと、自然の砂の動きを妨げてしまうことになると思う。ここに住んで10年になるが、ここから見る景色は変わらない。できればこれからもこの環境が残る嘉徳浜であってほしい」と力を込めた。

 

 被告側は14年の浸食状況を写真などで示し、「同じような波が来ればまた浸食される。住民の生命、財産を守るため工事は必要」と強調した。

 

 進行協議期日の内容は原告、被告双方が書面にするなどして提出すれば、判決に用いることのできる証拠となる。