大島紬職人の黒田さんが魅力語る 奄美図書館ならでは学舎

2020年12月20日

地域

本場奄美大島紬と伝統産業で働くことの魅力について語った黒田さん=19日、奄美市名瀬

本場奄美大島紬と伝統産業で働くことの魅力について語った黒田さん=19日、奄美市名瀬

 県立奄美図書館の生涯学習講座「あまみならでは学舎」が19日、奄美市名瀬の同図書館であった。本場奄美大島紬を製造・販売する都成織物(奄美市名瀬、都成俊一郎社長)の黒田康則さん(42)が「大島紬の魅力と大島紬で働くこと」の題で講話。高校生を含む来場者46人に「奄美でしかできない仕事があることをもっと知ってほしい」と語った。

 

 黒田さんは神奈川県相模原市出身。都内の広告代理店で企画営業などを経て、結婚などを機に2013年に奄美大島へ移住。県の工業技術指導センターで技術を身に付け、妻の実家である都成織物で大島紬の製造に携わる。現在、同社取締役専務で本場奄美大島紬協同組合常務理事。

 

 黒田さんは講座で、大島紬の製造工程や一日のスケジュールなどを説明。地元で伝統産業に関わることについて①長い歴史があり、奄美の気候や環境でしか作れないというビジネス面でも優れた商材である②自由な時間を確保できる③製造から販売まで一貫した物作りに関われる│などと魅力を語った。

 

 伝統産業を担う後継者の育成事業や、労働環境改善への取り組みについても紹介した。高校生や教育関係者も来場しており、黒田さんは「職人の道は若い人に尻込みされることも多いが、決して特殊な存在ではない。将来奄美で働きたいと思ったら、身近にある仕事として考えてもらいたい」とアピールした。

 

 大島高校3年生で卒業後は大学で大島紬の文化継承について研究したいという箕輪千里さん(18)は「泥染めや細かいかすり柄など改めてすごいと感じた。職人の低賃金問題など課題はたくさんあるが、いろいろな分野から意見を出し合っていけば解決できると思う。将来は紬産業に関わりたい」と話した。