奄振交付金、自然遺産で意見交換 沖縄奄美連合会

2018年09月19日

地域

奄美の将来に向けて意見を述べる沖縄奄美連合会の奥田会長=16日、那覇市のホテル

奄美の将来に向けて意見を述べる沖縄奄美連合会の奥田会長=16日、那覇市のホテル

 沖縄奄美連合会(奥田末吉会長)は16日、那覇市のホテルで金子万寿夫衆院議員と奄美選出の鹿児島県議3人を招き「ふるさと奄美の将来を語る集い」を開いた。約40人が参加。奄美群島振興交付金の使途や世界自然遺産登録に向けた取り組みについて意見交換した。奥田会長は「島の外に出たから見えることもあるが、まずは島に住む人が島の価値を知ってほしい」と郷土理解を深める副読本を教育現場に導入するよう提案。奄美2世、3世にも活用できる教材の必要性を訴えた。

 

奄振交付金について金子議員は、奄美産水産物の沖縄への輸送費を一部補助する「水産物流通支援実証事業」が奏功し、漁業者の所得向上に寄与したと報告。これを本事業にするため2019年度は本年度の24億円から26億円台まで引き上げる必要があると説明した。世界自然遺産登録へ向けて地元選出の県議や市町村議らで「奄美の宝を次世代に繋(つな)ぐ議員の会」を発足したと報告し、「シマンチュの精神文化、生き方を沖縄でも育んで伝えていけるような取り組みをお願いしたい」と述べた。

 

 永井章義県議は「奄美の経済活動は県本土や関西、東京と北を向いているが、生活圏と文化圏をともにする沖縄の皆さんと人とモノの流れをどう広めていくかが大切なポイント」と指摘した。

向井俊夫県議は奄美―沖縄の航空路線について「利用促進という形で路線のパイプをもっと太くして、兄弟島である奄美と沖縄の振興を深めていきたい」と述べた。

 

 禧久伸一郎県議は「沖縄はクルーズ船の寄港回数が国内で最も多い」とし、南西諸島における観光交流人口増加の契機になると期待を示した。

 奄美出身者からは、沖縄与論会の会長で医師の山本和儀さんが精神科などの専門医療が奄美の離島では立ち遅れているとして「奄美を離れた専門医が奄美の医療や公衆衛生を考える行政的な活動をしてほしい」と要望した。

 

 このほか、日本エアコミューター(JAC)が今年7月新設したアイランドホッピングルート(奄美大島―徳之島―沖永良部―那覇)について「開設は喜ばしいが、航空運賃がとにかく高い」との苦言もあった。