広域連携テーマに議論 瀬戸内町で世界自然遺産推進シンポ

2020年02月16日

地域

「屋久島・沖縄との広域連携」をテーマに議論したパネルディスカッション=14日、瀬戸内町きゅら島交流館

「屋久島・沖縄との広域連携」をテーマに議論したパネルディスカッション=14日、瀬戸内町きゅら島交流館

 「屋久島・沖縄との広域連携」をテーマとした第4回奄美世界自然遺産推進シンポジウム(県大島支庁主催)は14日、瀬戸内町きゅら島交流館であった。屋久島環境文化財団理事長の小野寺浩氏が基調講演した後、有識者や地元観光関係者らによるパネルディスカッションがあり、「アジアを視野に入れた物流ネットワークを」「医(医療)・職(職場)・住(居住)の連携で活性化」などの提言があった。

 

 シンポジウムは奄美・沖縄の世界自然遺産登録に向けた機運醸成を目的に昨年6月から開催。最終回となる今回は町内外から約120人が来場した。

 

 小野寺氏は自然保護と観光利用の両立について「規制を強権的にやるのは限界があり、地域が豊かにならないと自然は守れない。地域が自分たちの財産をうまく使ってやろうという発想に立たないと駄目」と指摘。持続性のある観光地づくりとして、地場産品の開発、販売強化、アジアを視野に入れた物流ネットワークなどを提案した。

 

 パネルディスカッションは本田勝規氏(奄美群島振興開発基金理事長)をコーディネーターにパネリスト4人が意見交換。アドバイザーとして小野寺氏も議論に加わった。

 

 広域連携について、前登志朗氏(奄美群島南3島観光連携協議会長)は徳之島、沖永良部島、与論島の連携事例を紹介。「人と人のつながりをつくり、一つになることでいろんなことができるようになる。民間が自分たちで知恵を集めてやることで、費用もかからない」と利点を挙げた。

 

 小栗有子氏(鹿児島大学准教授)は物々交換が盛んな奄美の経済に着目。「地元の人が集落間、島々をホッピング(旅する)、異文化体験するところが出発点になる。物々交換をシマ(集落)間を超えて広域でしたら面白い」と語った。

 

 小林良輔氏(HOTEL THE SCENE総支配人)は「医・職・住」の連携による医療資源や働き手不足、空き家解消などの地域課題解決、活性化を提言。東岡礼治氏(沖縄奄美自然環境事務所長)は「自然を育んだ文化をどう生かしていくかが共通課題」とし、屋久島や沖縄の事例を紹介した。