校内に龍郷柄地上絵 企業研修の教諭2人が調査 施工時の苦労話を取材 大島高校

2018年08月29日

地域

校内に浮かび上がった大島紬の龍郷柄=27日、大島高校(本社小型無人機で撮影)

校内に浮かび上がった大島紬の龍郷柄=27日、大島高校(本社小型無人機で撮影)

 奄美市名瀬の県立大島高校(竹井俊久校長)には、ペルーの「ナスカの地上絵」ならぬ「大高地上絵」がある。誰がいつ何のために作ったのか―。同校の川野誠教諭(25)、砂泊豊教諭(36)が校内の謎を調べた。

 

 絵がある場所は体育館横のレンガ張りの広場。地上からはほとんど確認できず生徒や教諭の多くが存在を知らなかったが、ドローン(小型無人機)で確認したところ広場一面に細やかな模様が浮かび上がった。

 

 同校で約20年勤務する女性教諭にドローン写真を見せたところ、模様は本場奄美大島紬の「龍郷柄」で、1996年の創立95周年記念に合わせた改修工事の際に作られたらしい。工事に関わった㈱松元組(奄美市)の松元利道代表取締役(54)が施工当時の様子を覚えていた。

 

 松元さんによると、模様は当時の奄美大島では珍しかったという「インターロッキング」と呼ばれる方法で、3色のブロックを点描画のように配置して作ったもの。屋上に立って方眼紙の設計図をにらみながら作業員へ指示を出したという松元さんは「こんなに複雑な柄の依頼は他にはなく、施工に苦労した」と話した。

 

 設計は㈱日建設計(東京都)と㈱川元設計(鹿児島市)が担当したが、龍郷柄が広場に組み込まれた経緯は今回の取材では分からなかった。松元さんは「奄美の高校ということで、県の関係者が設計会社へ特別に要望したのでは」と推測。苦労した柄だけに「誰も存在を知らないのは少し残念」と苦笑した。

 

 民間企業研修で取材に取り組んだ砂泊教諭は「取材を通して関係者の温かい思いを感じた。生徒にも知ってもらいたい」。川野教諭は「半歩引いて全体を見渡すことの重要性を感じるいい機会になった。経験を生徒たちへ還元していきたい」と話した。

建設に関わった松元さんに話を聞く(左から)川野教諭と砂泊教諭=27日、奄美市名瀬

建設に関わった松元さんに話を聞く(左から)川野教諭と砂泊教諭=27日、奄美市名瀬