登録の鍵握る勧告間近 世界自然遺産

2018年04月27日

地域

11 今年夏の世界自然遺産登録を目指す「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会の諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)の勧告が間近に迫っている。環境省によると、5月11日までに日本側へ連絡が入る見込み。6月24日~7月4日に中東バーレーンで開かれる同委員会で最終審査があるが、IUCNの評価は登録実現への鍵を握るため、動向が注目される。

 

 同省などによると、世界遺産委員会が始まる6週間前までにIUCNの評価結果と勧告が明らかになる。IUCNの評価は▽登録▽情報照会▽登録延期▽登録不可―の4段階で示される。同委員会は勧告を踏まえて審査し、同じ4段階のいずれかの決議を行う。

 

 「登録」と勧告されれば、世界遺産委員会でもそのまま認められる可能性が極めて高くなる。「情報照会」は遺産の価値は認められるものの、保護管理が十分でないとして追加資料の提出が求められる。「登録延期」は遺産の価値そのものの証明が不足しているため、推薦書の本質的な改定が必要になる。遺産の価値が認められなければ「登録不可」となる。

 

 世界遺産委員会で正式に決議されれば、情報照会の場合は追加情報の提出を経て、早ければ来年に再審査を受けられる。登録延期の場合は推薦書を再提出した後、再びIUCNの現地調査を経て審査を受ける必要があり、2年後以降に持ち越しとなる。登録不可となれば、再推薦は認められない。

 

 政府は17年2月、ユネスコ世界遺産センターに「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の推薦書を提出。同年10月にIUCNが現地調査を行った。世界遺産委員会では委員国21カ国が勧告を踏まえて審議する。

 

 日本の世界自然遺産は1993年の白神山地(青森、秋田)と屋久島(鹿児島)、2005年の知床(北海道)、11年の小笠原諸島(東京)の4件。今のところ奄美・沖縄の他に推薦の予定はなく、登録が実現すれば国内最後の世界自然遺産になるとみられる。