県主導の回収作業始まる 2時間の作業で約560㌔ 漂着油問題

2018年02月09日

地域

油の回収を行う県職員ら=8日、奄美市名瀬の朝仁海岸

油の回収を行う県職員ら=8日、奄美市名瀬の朝仁海岸

 奄美群島各地の海岸で1日から黒い漂着油が確認されている問題で、県主導の回収作業が8日、奄美市名瀬の朝仁海岸で始まった。今後は市町村ごとに一時保管の準備が整った海岸から順次作業に取り組む。

 

 この日は県大島支庁と環境省の職員計30人が参加し、約千平方㍍の範囲で作業に当たった。風の影響で砂に覆われたものも多く、職員たちは手探りで油を探しながら2時間の作業で約560㌔を回収した。

 

 集めた油は密閉容器に入れて海岸近くに一時保管する。県は8日までに保管用のドラム缶(約200㍑)130個を確保。今後も必要に応じて容器を集め、人家に近い浜辺などから優先的に回収ステーションを設置するという。

 

 漂着油の問題では、回収マニュアルが完成するまでに各海岸で住民らの自主的な回収作業が行われ、県は2次汚染防止などの理由から自粛を呼び掛けていた。9日以降は各市町村の判断で住民の協力を得ながら作業を展開するという。

 

 大島支庁は「ボランティアの受け入れが可能か自治体へ問い合わせ、回収マニュアルに沿って安全に作業を行ってほしい」と話した。マニュアルは大島支庁ホームページに掲載している。

 

 漂着油問題に関連して、県の環境林務部環境林務課は同日、奄美市名瀬の知名瀬海岸でアオウミガメの漂着個体を回収したと発表した。県によるとウミガメは甲羅の長さが約30㌢、重さ約3㌔。住民が6日、死んだ状態で見つけた。

 

 解剖した獣医師は「口の中に油があり、(漂着油の)影響が考えられる」としている。県は関係機関と連携して情報収集を行い、詳しく調べるという。

 

 油は、1月に奄美沖の日本の排他的経済水域(EEZ)でパナマ船籍のタンカーが沈没した事故との関連が疑われたが、第10管区海上保安本部の分析では、関連を示すデータは得られていない。

 同本部は8日、奄美群島などの漂着油に対応する対策本部を、鹿児島海上保安部と奄美海上保安部に現地対策本部を設置したと発表した。また、海保職員が沖永良部島と与論島で漂着油の確認調査を行った。

奄美市名瀬の知名瀬海岸で見つかったアオウミガメの死骸=提供写真

奄美市名瀬の知名瀬海岸で見つかったアオウミガメの死骸=提供写真