離陸のめどいまだ立たず 緊急着陸から1週間 奄美空港のオスプレイ

2018年06月12日

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4日の緊急着陸後、駐機場にとどまったままのオスプレイ=11日、奄美市笠利町の奄美空港

4日の緊急着陸後、駐機場にとどまったままのオスプレイ=11日、奄美市笠利町の奄美空港

  米軍の輸送機オスプレイ1機が奄美市笠利町の奄美空港に緊急着陸してから11日で1週間が過ぎた。着陸翌日の5日には乗員らが機体の点検を行う様子が確認されたものの、その後は修理や整備などの動きは見られず、オスプレイは11日も駐機場にとどまった。防衛省九州防衛局は「修理や離陸のめどを含め、米軍から情報は一切寄せられていない」と説明しており、同日現在、今後の見通しは立たないままだ。

 

 緊急着陸したのは沖縄県にある米軍嘉手納空軍基地所属のCV22型オスプレイ。4日午前に5機編成で東京都の横田基地を離陸し、山口県の岩国基地を経由して嘉手納基地に向かっていたが、機体の異常を示す警告灯が点灯したため、同日午後に奄美空港に緊急着陸した。

 

 5日にはエンジンやローター(プロペラ)部分などを点検する様子が確認されたが、6日にはほとんどの乗員が輸送機で空港を離れた。オスプレイもローターを折りたたんで空港北側の駐機場にとどまったままで、残った乗員が時折、機体の回りに姿を見せる以外に大きな変化はない。

 

 九州防衛局は奄美空港に職員1人を派遣して情報収集を続けているが「米軍からの情報がなく、見通しについても何ともいえない」と、長期化の可能性も示唆。国内では2017年8月29日に大分空港に緊急着陸したオスプレイが、9月8日までの11日間、同空港に駐機を続けた例がある。

 

 知人の見送りのため11日に奄美空港を訪れた西元則吉さん(66)=龍郷町=は、1週間以上の駐機に「思ったより長引いており、少し驚いている」と話し、昨年以降3度目の同空港への着陸に触れ「奄美空港が(着陸先として)当てにされているような気がして、あまり気分がいいものではない」と表情を曇らせた。

 

 同空港の近くで観光関係の業務に従事する牧井純一さん(44)=奄美市名瀬=は「空港利用者の中には、驚いたような表情を見せる人もいるが、大きくイメージを損なうような話は聞いていない」とし「駐機期間は予想よりも長いが、(緊急着陸は)事故防止の面でやむを得ないと思う。妥当な処置」と冷静に語った。