鹿大島嶼研が「新技術で未来考える」テーマにシンポ

2019年10月13日

地域

パネルディスカッションに登壇した(左から)神田、渡邊、菅の各氏=12日、喜界町

パネルディスカッションに登壇した(左から)神田、渡邊、菅の各氏=12日、喜界町

 鹿児島大学国際島嶼(とうしょ)教育センター主催のシンポジウムが12日、喜界町役場であった。「新たな技術で喜界島の未来を考える」をテーマに専門家3人が講演した後、パネルディスカッションを行った。海底調査やサンゴ研究、農業分野の新技術を紹介し、喜界島での環境保全や産業振興への活用を提案した。

 

 九州大学教授で同大学桟海底フロンティア研究センターの菅浩伸センター長(55)は超音波を用いて高精密桟海底地図を作成する技術を紹介した。沖縄県石垣島で海底地図を基に調査した結果、陸地に近い沿岸域で大規模なサンゴ群集や海底遺跡を発見したと報告。「喜界島でも沿岸域の調査研究をした上で、環境保全や産業開発を進めてほしい」と話した。

 

 北海道大学講師(地球環境科学)で喜界島サンゴ礁科学研究所の渡邊剛理事長(48)はサンゴの骨格標本を基に、時代別の海水温などを化学分析する方法を研究していると報告。隆起サンゴ礁でできた喜界島は研究に適しているとし、「変わりゆく地球環境と人類の未来をサンゴの記憶を通じて考えていきたい」と力を込めた。

 

 鹿児島大学農学部の神田英司准教授(53)は人工衛星などで収集したデータをサトウキビ栽培に生かす取り組みを紹介。課題に▽作付け状況の正確な把握が可能な衛星画像データの取得▽刈り取り適地を判別するシステム構築―などを挙げ、「喜界島で今後数年、研究を進めていきたい。うまくいけば新規就農者も農業をしやすくなる」と話した。

 

 町内外から約50人が出席。シンポジウムは奄美市名瀬の同センター奄美分室に中継された。