龍郷町秋名の琉球石垣を文化財指定

2019年03月12日

地域

龍郷町有形文化財に指定された「琉球石垣」を調査する宮城さん(左)と案内する伊東さん=11日、同町秋名

龍郷町有形文化財に指定された「琉球石垣」を調査する宮城さん(左)と案内する伊東さん=11日、同町秋名

 龍郷町教育委員会は2月13日付で、同町秋名の「琉球石垣」を町の有形文化財(建造物)に指定した。奄美大島では珍しい琉球式の石積みで、歴史的な価値を評価した。調査を行う沖縄国際大学社会文化学科の宮城弘樹学科長(44)は「日本式の屋敷や庭も含め、薩摩藩支配下の奄美と琉球とのつながりを考える上で興味深い」と今後の進展に期待した。

 

 龍郷町によると、19世紀の同町の豪農・麻福栄志が屋敷を建設する際、沖縄から石工を呼び寄せて築かせたという。戦前ごろに地元の伊東家が買い受けたが、建設当時の詳しいいきさつなどは分かっていない。

 

 石垣は全長69・5メートル、高さ3・1メートル。扇形や多角形に加工したサンゴ石を隙間なく組み合わせる「相方積み」などと呼ばれる独特の石積みが特徴で、宮城学科長によると、沖縄県の「中城御殿(なかぐすくうどぅん)跡」や国指定史跡「中城城址」にも同様の石積みが見られるという。

 

 3月11日は同町の川元美咲学芸員と宮城学科長が秋名を訪れ、石垣を調査した。所有者の伊東廣美さん(69)は「たくさんの人に見てもらい、喜んでもらえればうれしい。建設時のことが分かるのを楽しみにしている」と話した。

 

 龍郷町は今後専門家による調査を進めるとともに、観光用の案内看板の設置などを予定している。担当者は「集落の散策マップなどでも紹介しており、地域の歴史や魅力発信に活用したい」と語った。

扇状や多角形のサンゴ石がかみ合うように組まれた石垣=11日、同町秋名

扇状や多角形のサンゴ石がかみ合うように組まれた石垣=11日、同町秋名