奄美大島いきものがたり

2024年08月22日

○カブトムシの仲間 アマミコカブト

アマミコカブト

「奄美大島にカブトムシはいますか?」。幼稚園児や小学生からよく尋ねられる。奄美大島にはアマミコカブトが生息している。カブトムシから連想される立派なツノはなく、わずかな突起が存在するだけである。

アマミコカブトは、平地から山地にかけて生息する。夜間、森林の林床や林道上を歩いている姿をよく見かける。森林と隣接する住宅地に住んでいるわが家には、今年だけで3回も階段にいるのを見つけた。初夏から秋の終わり頃まで見られる。見た目クワガタのメスと思い込んでしまいそうであるが、「アマミコカブトなのでは?」と考えて観察してみると、割と見つけやすいのかもしれない。

アマミコカブトよりも知名度が高いのはサイカブト。別名はタイワンカブトである。こちらはサイのような湾曲したツノをもっていることから、この名がつけられたと言われている。子どもの頃はよく見かけたが、最近はなかなか見かけないような気がするが、どうだろうか。

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○小さなスイカに見える オキナワスズメウリ

オキナワスズメウリ

植物を本格的に観察するようになって数カ月たった頃。ある林道を歩きながら、花や実、見た目が特徴的な植物を見つけては観察・撮影をして、一つ一つ覚えていく作業を繰り返していた。そのときに、林道脇をカーテンのように覆っていたのがつる性のオキナワスズメウリ。ちょうど結実していて、私には小さなスイカにしか見えなかった。これはすぐに覚えられる特徴だと思い、緑色や赤色の実、そしてまだ花も残っていたので、葉を含めてさまざまな部位を撮影した。その後、別の林道、民家の庭、荒れ地などで見かけた。夏の暑さに負けず、日当たりがよい場所に好んで生育する。

前述した通り、私には小さなスイカにしか見えなかったのだが、実には毒がある。万が一食べてしまうと、下痢、嘔吐(おうと)、腹痛などの症状に襲われるそうだ。身近な環境に生えていて、思わず子どもたちが食べてしまいそうな見た目である。身近に生えている危険な植物は他にもある。出前授業を通して、子どもたちに伝えなければ、とこの原稿を書きながら思った。

(奄美博物館)