飼育、繁殖の研究成果報告 奄美固有のアマミトゲネズミ 奄美市でシンポジウム
2020年02月11日
絶滅の恐れのある奄美大島固有のアマミトゲネズミの飼育と繁殖に関するシンポジウム(沖縄大学、宮崎大学共催)が8日、奄美市名瀬の奄美博物館であった。研究者や動物園関係者が、トゲネズミの絶滅を回避するために、生息地以外で飼育し、繁殖に成功した取り組みを報告。パネルディスカッションで今後の保全の在り方を話し合った。
アマミトゲネズミは森林開発やマングースの捕食被害などで激減し、環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類。同省と日本動物園水族館協会(JAZA)などが連携した保全事業で2017年から、国内の3動物園で飼育の試みが始まり、宮崎市の動物園で18年9月に初めて飼育下での繁殖に成功した。
シンポジウムでは越本知大(宮崎大)、佐藤哲也(JAZA)、豊田英人(埼玉県こども動物自然公園)の3氏が報告。トゲネズミの繁殖に適した条件や、飼育中に確認された落ち葉を運んで営巣したり、シイの実を貯蔵したりする習性など、研究の成果を紹介した。
これまでに2園で繁殖が確認されたほか、飼育下で生まれたトゲネズミのペアの繁殖にも成功したとして、繁殖が成功した要因の検討などを課題に挙げた。
パネルディスカッションは城ヶ原貴通氏(沖縄大学)をコーディネーターに、報告者ら5人のパネリストが会場からの質問に答える形で意見交換。トゲネズミの生態のほか、一般公開や野生復帰の可能性などを話し合った。