世界遺産、徳之島で初確認 特定外来生物「シロアゴガエル」 群島2例目、「要警戒 情報提供を」 環境省

2023年05月20日

シロアゴガエルの成体(沖縄奄美自然環境事務所提供)

【徳之島総局】環境省は19日、特定外来生物シロアゴガエルを徳之島で初めて確認したと発表した。奄美群島では与論島に続き2例目。人畜に害はないが、繁殖力が強く、餌や繁殖場所の競合で在来種を脅かす恐れがある。既に相当数の個体が分布している可能性もあり、同省徳之島管理官事務所の田口知宏国立公園管理官は「早く手を打たないと島全体に広がる。最大限の警戒が必要」として、世界自然遺産である徳之島の固有種や生態系への影響などを危惧。「発見した場合は連絡してほしい」と島民へ協力を呼び掛けている。

 

シロアゴガエルは東南アジア原産のアオガエル科の一種で、体長は5~7センチ。背面が茶褐色や黄みがかった色をしており、脚が長く細長い体つきが特徴。繁殖期は4~10月で直径5~8センチのクリーム色をしたメレンゲ状の卵塊(泡巣)を水場近くの木の枝やコンクリート壁面などに産みつける。

シロアゴガエルの卵塊(沖縄奄美自然環境事務所提供)

国内では1964年に沖縄県嘉手納町で初めて侵入を確認。以降、急速に分布域を拡大し、2000年代には同県のほぼ全域に定着した。鹿児島県内では13年に与論島で初めて確認され、19年には同島全域への拡大が確認されている。

 

発表によると、5月8日に環境保護団体「徳之島虹の会」のメンバーが徳之島町徳和瀬で成体を発見。16~18日にかけて環境省職員と同会が調査したところ、徳和瀬、諸田、井之川の同町内3地区で成体30体以上、卵塊約20個を確認した。

 

徳之島への侵入の経路は不明だが、物資に紛れて持ち込まれた可能性が高いという。田口管理官は「比較的乾燥にも強く、直接水でつながっていない他の川や池にも生息を広げて、世界自然遺産エリアまで達する恐れがある。まずは生息域の確認を急ぎたい」と語った。

在来種のカエルとシロアゴガエルの音声が聴ける奄美野生生物保護センター「奄美のカエル鳴き声図鑑」のQRコード

シロアゴガエルは「ギイッ」「グエッ」など、他の在来種のカエルに比べると単発的に鳴く特徴があり、同事務所では成体、卵の目撃情報のほか、鳴き声を確認した際も情報の提供を求めている。連絡先は0997(85)2919徳之島管理官事務所。