城跡の活用法議論 整備の仕方などで提言 与論町でシンポジウム

2025年02月14日

芸能・文化

来場者も交えて意見交換したトークセッション=11日、与論町

与論城跡の文化財としての価値発信などを目的とした「驚きの与論城跡シンポジウム」(与論町教育委員会主催)は11日、同町中央公民館で開催された。約90人が来場。考古学を専門とする2氏の講演や与論城跡発掘調査の成果報告、来場者を交えたトークセッションがあり、与論城跡の魅力や活用法について議論を深めた。

 

与論城跡は14世紀前半~中頃築造の最北端の大型琉球式グスク跡。昨年12月、国の文化審議会が国史跡に指定するよう文部科学大臣に答申した。シンポジウムは文化庁の補助事業を活用して開いた。

 

國學院大學研究開発推進機構の池田榮史教授は奄美と沖縄のグスクを比較し、違いや特徴を解説。「奄美群島の中で、石積みを持つ城郭遺跡例はほとんどなく、与論グスクと沖永良部島の後蘭孫八グスクは特別な存在。奄美諸島と沖縄諸島の境界に設けられた与論城跡は琉球列島社会の大きな歴史転換を物語る重要な位置を占めている」と価値を強調した。

 

大野城心のふるさと館(福岡県)の赤司善彦館長は戦国時代の日本の城からみた与論グスクの特徴を解説。沖縄方面の海岸から多重に積まれた石垣を視認できることから、「交易船やその他の船に対する軍事的なプレゼンス(存在)、役割もあったのではないか」と論じた。

 

与論町教育委員会の南勇輔学芸員による与論城跡の発掘調査成果報告の後、与論城跡の活用の在り方をテーマに、島内外の有識者と来場者が意見交換。「城跡を下の道路から見ても、雑木などに埋もれてどこが城跡なのか分からない。分かるような目印が必要ではないか」「崖を利用した城跡の特徴を生かす形で整備していくと与論グスクのさらなる魅力が現れる」「現地で触れることができないものは復元して手で触れるような形に」などの意見があった。