海の移り変わりを考える 世界遺産トークイベント 調査内容や経験を共有▽宇宿貝塚史跡公園

2022年11月28日

芸能・文化

笠利湾の環境の変化について調査や経験を基に講演する中野さん(中央左)と山田さん=27日、奄美市笠利町

奄美市笠利町の宇宿貝塚史跡公園で27日、世界自然遺産登録一周年記念トークイベント「ホントに知ってる?島の海~笠利湾のむかしといま~」(奄美文化財サポーターDEIDEIDEI主催)が開かれた。日本自然保護協会(東京)の中野恵さん(47)と地元漁師の山田辰蔵さん(73)が講師を務め、過去70年間の笠利湾の移り変わりや人と海の関わりなどについて、調査や経験を基に語った。

 

イベントは、地域住民に奄美の海の様子がどのように変化しているのかを知ってもらおうと開催。会員や一般市民ら約20人が参加した。

 

中野さんは、同協会が2021年から始めた「奄美大島の海を調べるプロジェクト」について紹介。23年までの3年計画で取り組んでいる▽環境DNAによる生物多様性調査▽かつての海の様子を知る聞き取り調査▽海藻の生息場所調査│の内容を報告した。

 

海の環境を維持するために重要な水田などの役割や、人と自然が共存していた昔ながらの生活にも言及。中野さんは「人々が海と関わりながら生きてきた知恵を若い世代が引き継いくことができれば」と期待した。

 

地元の海で50年以上漁を続けているという山田さんは、「ここ5~6年で海が極端に変わり、生き物が少なくなった。潮位も上がってきている」と自身の経験を基に笠利湾の環境の変化を説明。「いろんな対策をしなければ、もう長くない状態」と警鐘を鳴らした。

 

 

同町万屋で農業を営む渋谷丹さん(44)は「海の環境を守るため、陸に視点を向けるところが面白かった」と感想を話した。