クロウサギの事故防ごう 龍北中生徒が減速帯設置 ドライバーに注意喚起 龍郷町

2022年04月29日

子ども・教育

アマミノクロウサギなどのロードキル防止へ減速帯を設置する龍北中学校の生徒ら=26日、龍郷町

多発する国の特別天然記念物アマミノクロウサギなど希少動物のロードキル(交通事故死)防止につなげようと、龍郷町の龍北中学校(志風寛校長、生徒12人)の生徒らが26日、校区内の町道に減速帯を設置した。道路脇にはクロウサギの飛び出しに注意を促す標識も設けられ、ドライバーに注意喚起している。

 

アマミノクロウサギは奄美大島と徳之島の固有種。環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類。マングースの駆除など保護対策が進んだことで生息状況が回復し、近年、ロードキルが急増している。奄美大島では2021年、過去最多の56件を記録。今年は4月17日時点で16件と、前年同期とほぼ同じペースで発生している。

 

減速帯の設置は、昨年7月の奄美・沖縄の世界自然遺産登録に際して、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会がロードキル対策の強化を要請したことを受けて、島内5市町村でつくる奄美大島自然保護協議会が進める取り組みの一環。島内12基の設置を計画している。

 

同日は環境省奄美野生生物保護センターの希少種保護増殖等専門員、鈴木真理子さんが龍北中を訪れ、生徒らに講話した。クロウサギの数が回復して、校区周辺のエリアでも目撃情報が増えていることや、ロードキルも発生しているとして、事故防止に向けて「みんなも対策を考えて、大人に提案して」と呼び掛けた。

 

生徒らは学校近くの町道へ移動し、幅250センチ、奥行き35センチ、高さ5センチの減速帯1基の設置作業を行った。ゴム製の六つのパーツにそれぞれ接着剤を塗り、ボルトを打ち込んで道路に固定した。

 

2年生の圓山結礼さん(13)は「(クロウサギが)ロードキルで減るのは悲しい。少しでも減って、ずっと自然豊かな森であってほしい」と話した。