佐平さん(名瀬)に功労表彰 火災で高齢者を避難誘導 大島地区消防組合

2020年12月09日

政治・行政

火災時の人命救助の功績による表彰を受けた佐平さん(前列右から2人目)と同席した洋子夫人(同3人目)ら=8日、奄美市役所

火災時の人命救助の功績による表彰を受けた佐平さん(前列右から2人目)と同席した洋子夫人(同3人目)ら=8日、奄美市役所

  8月に発生した奄美市名瀬永田町の火災で独居高齢者を避難させたとして、大島地区消防組合(管理者・朝山毅市長)は8日、同町の佐平一二さん(58)=名瀬港運勤務=に人命救助の功績をたたえる表彰状を贈った。佐平さんは「1人の命を救えて良かった」と語った。

 

 同組合消防本部によると、8月23日正午すぎ、県大島支庁裏の木造平屋建て住家から出火。山裾に立ち並ぶ周辺4棟を全焼、3棟の一部を焼き、5世帯6人が被災した。

 

 火災に気付いた佐平さんは、山手側の独居高齢者宅に向かい、足が不自由で避難できずにいた住人の80代女性を背負って山を下り、安全な場所まで避難させた。その後、女性宅は全焼した。

 

 現場は幅1㍍前後の細い路地を隔てて古い木造家屋が立ち並ぶ「消防活動困難地域」。女性宅から避難するには火元家屋近くを通るしかなく、避難誘導がなければ、女性が逃げ遅れていた可能性もあった。

 

 表彰式には佐平さんと妻の洋子さん(44)、朝山市長、同組合の野崎浩敏消防長らが出席。朝山市長は佐平さんに表彰状を手渡し「互助の精神を実践し、地域防災の模範となった」と称賛した。

 

 佐平さんは「助けた女性は足が不自由だと知っていたので、心配で様子を見に行くと玄関先に1人で立っていた。すでに女性宅に延焼しており、急いで避難させると数分後に大きな炎が上がった。知り合いの命が助かって本当に良かった」と当時を振り返った。

 

 同町では2018年に自治会が発足し、消防との合同防災訓練も実施していた。野崎消防長は「消防隊到着前に住民間で避難誘導、安否確認ができていると迅速な消火活動につながる。地域でできる共助として、災害弱者の把握に努めてもらいたい」と呼び掛けている。