奄美域内の経済循環促進を 新「成長戦略」策定で懇話会

2022年01月28日

政治・行政

オンラインで開催された奄美群島新ビジョン懇話会=27日

奄美群島新ビジョン懇話会(座長・原口泉志學館大学教授、委員17人)の第2回会合が27日、インターネットを活用したオンラインで開かれた。2023年度末に期限を迎える「奄美群島成長戦略ビジョン」に続く新たな「奄美群島成長戦略ビジョン2033(仮称)」の骨子案を基に協議。委員からは地域内経済循環の促進や、持続可能な観光に向けたデジタル基盤の活用など、さまざまな意見が出された。

 

新ビジョンの期間は24年度からの10年間。奄美群島振興開発特別措置法や交付金制度の理論付けとなるもので、次期奄振法の延長・改正を見据えて22年度に策定し、23年度には基本計画、実施計画をまとめる。新ビジョンの骨子は今年度中に策定予定。

 

懇話会は群島市町村長の代表や議会議長会会長、有識者、国交省、県、奄美群島広域事務組合の代表らで構成。新ビジョン策定に向けた提言と、既存の成長戦略ビジョンの成果検証などを行う。

 

骨子案は「つなぐ宝(資源、価値)」「稼ぐ力(経済成長)」「支える基盤(奄美群島振興全般)」の三つの柱を基軸に、自然と文化を守り受け継ぎ、仕事の創出に重点を置いた産業振興で、群島民の幸せな生活につなげることを基本理念に定めた。

 

12市町村への聞き取りなどを基にビジョン実現のため必要な制度として、「離島割引」の沖縄向け路線への拡充、輸送コスト支援の拡充(出荷先や輸送方法)、水道の硬度低減化や空き家改修の支援などを盛り込んだ。

 

会議では第1回会合や策定作業部会での意見を踏まえて作成した新ビジョンの骨子案と、来月16日に予定される奄美群島市町村長会(会長・高岡秀規徳之島町長)への「骨子案に関する提言内容」などを協議。

 

委員からは「10年前は『条件不利性の解消』がテーマだった。今回はさらに、社会循環のモデルになれる地域を目指すために何をするかという点も踏まえた検討が必要」「持続可能をうたうならば、域内での経済循環の促進といったこともビジョンに明示すべき」などの意見があった。

 

懇話会は新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、今回が初のオンライン開催。次回は7月の予定。