奄美市防災訓練 13機関が連携確認

2019年08月26日

政治・行政

救助者のトリアージを行いながら情報交換する消防、陸自、県立大島病院関係者=25日、奄美市名瀬

救助者のトリアージを行いながら情報交換する消防、陸自、県立大島病院関係者=25日、奄美市名瀬

 地震発生に伴う津波を想定した奄美市防災訓練が25日、市内全域で行われた。合同訓練では初参加の陸上自衛隊奄美警備隊をはじめ行政、警察、消防、海上保安部など13の実動機関が参加。ドクターヘリや巡視船、はしご車なども出動させ、本番さながらの動きで連携体制を再確認した。

 

 午前9時、奄美大島近海を震源とする地震が発生し、島沿岸に大津波警報が発表された―と想定した。

 

 市は避難指示を発令するとともに、1時間後には朝山毅市長を本部長とする災害対策本部を設置。3総合支所をインターネット中継で結んで施設の被害状況報告などを受けた。

 

 合同訓練は名瀬港観光船バースであった。小型無人機(ドローン)が被害調査に当たったほか、道路が寸断した被災地には海保の巡視船で輸送された陸自隊員が入り、偵察用オートバイで情報を収集した。

 

 名瀬湾内の漂流者は消防の水上バイクと、はしご車で救助し、陸自の救急車で搬送した。もう1人の漂流者は空自ヘリがつり上げ訓練を展開。当日は12の訓練が行われ、会場に訪れた多くの市民は迫力の救出作業などを熱心に見学していた。

 

 終了後、災害対策本部副本部長の東美佐夫副市長は「災害時は関係機関の役割分担とともに、住民がどう動くかが大事。近年はドクターヘリや自衛隊など参加機関が増えており、救助体制が充実してきた」と総括した。

 

 住民対象の避難訓練は自治会や自主防災組織など市内33団体1500人余りが参加した。午前9時の地震発生時刻に合わせ、避難経路や災害弱者の避難誘導などを確認した。

 

 名瀬港に近い塩浜町内会は一時避難場所に集合後、声を掛け合いながら指定避難所の塩浜地区コミュニティセンターへ移動した。カレーライスの炊き出しも行った。

 

 吉田正町内会長(70)は「毎年やっているので段取り良く行動できた。今後は自主防災組織の立ち上げが課題」と話した。

 

 また集合住宅が並ぶ名瀬佐大熊町では、今年活動再開した黒潮第1自治会も含め、3自治会がそれぞれ訓練を実施した。

 

 上佐大熊自治会の武田俊樹自治会長(73)は「一人暮らしの高齢者も多いので各班長とは日ごろから情報交換している。訓練参加が少ない若い世代には地道に声掛けしていきたい」と語った。

 

 防災訓練は9月1日の「防災の日」にちなんで毎年行っている。

 

炊き出し訓練も行った塩浜町内会の住民ら=25日、奄美市名瀬

炊き出し訓練も行った塩浜町内会の住民ら=25日、奄美市名瀬