「平和への思い感じて」 画家の山下晴道さんが作品寄贈 徳之島町
2024年12月13日
地域
徳之島町母間にルーツを持つ画家の山下晴道さん(53)=鹿児島市=はこのほど、同町役場に作品2点を寄贈した。10日、作品を展示する役場玄関ホールで寄贈式があり、山下さんは「町で一番目立つ場所に展示してもらえて光栄。役場を訪れる多くの人に絵のテーマである平和への思いを感じてもらいたい」と期待した。
山下さんは母親の澄恵さん(78)=旧姓・吉澤=が母間出身で、小学3年から6年まで母間小学校で学んだ。1995年に武蔵野美術大の油絵学科を卒業。南日本美術展で2度、最高賞を受賞、2022年に独立展独立賞を受賞するなど活躍している。現在、独立美術協会の会員。川内高校で美術教諭を務める。
町に寄贈したのは23年に制作した「SORA‘23―RAY―」「SORA‘23―SHOW―」の2作品。ともに縦162センチ、横194センチの大作で、壊れた戦闘機の破片が舞う中を雄大に泳ぐクジラが描かれた幻想的な作品。
寄贈式で高岡秀規町長は「作品を見た子どもたちに山下さんの意図やメッセージが伝わったら素晴らしい。今後も作品を通じて町と関わり続けてほしい」と感謝した。
山下さんは作品について「戦闘機は戦争などの人間史の負の象徴。私たちを取り巻く日常にはびこる苦しみや悲しみも含んでいる。クジラは私にとって命の象徴。子どもたちの未来がおおらかで雄大であってほしいという願いを込めた」と解説し、「クジラが泳いでいるのは空なのか、深海なのか。自由に想像を楽しんでほしい」と話した。
また同ホールでは「徳之島景観フォトコンテスト」の作品43点も展示中。14日までの展示で、町は多くの人にみてほしい来場を呼び掛けている。