離島の農福連携、学生が研究 就労支援事業所で実習 稲の収穫を体験 奄美大島
2024年09月30日
地域
農業と福祉の連携などをテーマとした卒業研究に取り組む大学生4人が24日から、研究調査の一環で奄美大島を訪れている。龍郷町大勝の継続就労支援B型事業所「あまみん」の施設に滞在し、実習を通して奄美ならではの農福連携事業に理解を深めている。26日は同町秋名・幾里集落にある田んぼで稲の収穫を体験。同事業所の利用者らと共に、稲刈りに汗を流した。
研究のため来島したのは千葉大学の園芸学部食料資源経済学科4年、中村奏琳(かりん)さん(21)、根本莉緒さん(同)、須永和花(のどか)さん(同)、篠宮千里さん(同)。30日まで滞在し、あまみんが展開する各種事業の仕事を体験している。
あまみんは2016年設立。心身に障がいがある人の就労・職場復帰支援を行っており、個々の特性や体調に寄り添いながらサポートする。現在スタッフは15人で、利用者は35人。
主に農業を中心とした各種事業を展開。人手不足の地元農家を手伝い、農作業の対価として提供される果物を使ってジェラートを製造・販売している。自家栽培したハーブの加工品開発も手掛けており、6次産業化に力を入れている。
同事業所を運営する「リーフエッヂ」(同町大勝)の田中基次代表取締役(49)によると、学生の実習やインターンを受け入れ始めたのは昨年。施設内に利用者の休憩室など、宿泊可能な設備を整えたことがきっかけだという。今年に入ってからは、今回も含めて3組7人が滞在した。
この日、学生らは一般社団法人奄美稲作保存会(小池弘章代表理事)が管理する田んぼ(1反)でもち米を収穫。すべて手作業で行い、鎌を使って一株ずつ丁寧に刈り取った。
6次産業化に関心があるという中村さんは「離島は本土と比べて、農産物をそのまま外に出すのが簡単ではないから加工するのだと分かった。商品のマーケティングなど学べることが多い」と語った。
根本さんは「地域のつながりを大事にしているからこそできる農福連携事業だと実感した。台風の影響など離島ならではの課題も初めて知った」、須永さんは「利用者の方と、それぞれの個性に合わせてコミュニケーションを取ることができ楽しかった」、篠宮さんは「海や山に囲まれて自然いっぱいのきれいな場所。利用者さんも生き生きと働いていると感じた」と話した。
田中代表取締役は「学生からも刺激をもらい、情報共有できる貴重な機会。農業の規模が小さく耕作放棄地も多い奄美の現状や、暑さやハブなど気を付ける点の違いも実際に体験することで知ってもらえたら」と期待した。 (餅田彩葉)