世界自然遺産5地域会議が発足 関係首長ら屋久島で初会合 万博でメッセージ発信 

2023年01月19日

地域

世界自然遺産5地域会議を設立した関係者ら=18日、屋久島町

【屋久島で山崎みどり】国内の登録地域の連携を目的とした「世界自然遺産5地域会議」(代表・小野寺浩屋久島環境文化財団理事長)が18日に発足した。奄美・沖縄など関係市町村の首長らが同日、屋久島町の屋久島環境文化村センターで初会合を開き、今後の活動方針などを決めた。2025年に開催される日本国際博覧会(大阪・関西万博)に参加し、「共生」や「環境文化」をキーワードに人の暮らしと両立する日本型自然保護のメッセージを国内外に発信する。

 

5地域会議の設立は、大阪・関西万博の企画・運営を支援するイベント学会からの参加の呼び掛けがきっかけ。屋久島、白神山地(青森、秋田)、知床(北海道)、小笠原諸島(東京)、奄美・沖縄の各世界自然遺産がある22市町村の首長と知床、屋久島の両財団で構成。今後は民間企業などにも参加を呼び掛ける。

 

会合には関係者ら約160人が出席した。塩田康一知事は「将来にわたって貴重な自然環境を引き継ぐには、その価値の保全と地域の暮らしや観光利用との両立を図る必要がある。国内全ての自然遺産地域の関係者が一堂に会して連携強化を図るのは極めて有意義なこと」とあいさつ。

 

イベント学会の中村利雄会長は「日本の誇る五つの自然遺産を世界に認識してもらい、日本的なアプローチがどのようなものであるのか有用性を発信したい」と強調した。

 

各市町村の首長らが遺産地域で直面する課題や、自然保護と人の暮らしを両立させる取り組みについて報告。「先進的な事例を参考に、課題解決に向けた手法を探りたい」「5地域会議のスケールメリットを生かした実現力のある政策提言を期待したい」などの意見があった。

 

今後は大阪・関西万博に向けた事業内容や発信するメッセージの検討を進める。各地域の課題や先進的な取り組みについて情報共有し、自然保護と地域振興の「両立モデル」の提示や、政府や関係行政機関への政策提言を目指す。

 

小野寺代表は「遺産地域の暮らしが豊かになって、自然が保護される仕組みをどうやって実現していくか。5地域の中でアイデアも出ている。それを整理して、骨太なものにして提案していきたい」と語った。