島民は驚きと困惑 予防策求める声も 知名町ヘリ部品落下事故

2018年03月08日

地域

ヘリから落下したカーゴドアが発見された草地付近を確認する知名町職員=7日午前10時半ごろ、同町の山田ダム近く

ヘリから落下したカーゴドアが発見された草地付近を確認する知名町職員=7日午前10時半ごろ、同町の山田ダム近く

 6日夜に知名町の航空自衛隊沖永良部島分屯基地近くで起きた空自ヘリの扉落下。幸いけが人はなかったが、落下地点の近くには畑地帯が広がる。日中は農作業に汗を流す住民の姿も見られることから、あわや大惨事となった可能性も。島民からは驚きと困惑の声が上がるとともに、事故予防策などを求める意見が聞かれた。

 

 7日午前、扉の落下現場から100㍍ほど離れた畑地でジャガイモの掘り取り作業をしていた同町瀬利覚の栗尾健一さん(67)は「人けのない夜間の発生で幸いだったが、一歩間違えれば大変な騒ぎになるところ。まさか沖永良部島でこんなことがあるとは」と驚いた様子。「30㌔の物体が上空から落ちてきたら対処のしようがない。日中も自衛隊などのヘリがこの畑の上空をよく飛んでいくので、こんなことがあると不安になる」と語った。

 

 沖永良部島でガイド業を営む山下芳也さん(49)は2月に佐賀県で発生した陸自ヘリの民家への墜落事故が頭をよぎったという。「全国で似たような事故が続いている中での出来事なので、そりゃあ島民なら心配だ」と話した。

 

 知名町内の学校や子ども園に娘3人を通わせる同町下平川の美容師、竿智之さん(39)は「こうした事故のたびに再発防止と言われるが、人間がやる以上はどこかで同じようなことが繰り返し起こる」と指摘。「例えば住宅地や学校の上空は飛行ルートにしないなど、万一の際でも被害を極力防ぐような方策も検討してほしい」と語った。

 

 航空自衛隊沖永良部島分屯基地は1972年に米軍からレーダー部隊の任務を引き継いだ。現在はレーダーで南西域の上空を24時間体制で監視するなど、南西域の防衛最前線として、隊員が任務に当たっている。

 

 知名町のジャガイモ祭りや沖永良部島全島一周駅伝への参加など、隊員は地元住民との交流も盛ん。同町知名の70代男性は「自衛隊に負のイメージを持つ町民は少ないはず。今回のような事故も初めてで、それだけに知った時はショックだった。2度と起きてほしくない」と語気を強めた。