差別体験、裁判を報告  ハンセン病家族訴訟で学習会、奄美市

2018年02月14日

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昨年12月の裁判について報告する福田代表=12日、奄美市名瀬幸町

昨年12月の裁判について報告する福田代表=12日、奄美市名瀬幸町

 奄美大島でハンセン病問題に取り組む「奄美和光園と共に歩む会」(福田恵信代表)は12日、奄美市名瀬の奄美大島教育会館で総会と学習会を開いた。約30人が参加。福田代表と「れんげ草の会」の赤塚興一会長の講話があり、係争中のハンセン病家族訴訟についての理解を深めた。

 

 ハンセン病家族は国が長年続けたハンセン病の隔離政策で患者本人だけでなく、家族も深刻な差別を受けたとして、元患者の家族568人が国に謝罪と損害賠償を求めている。昨年12月4日に熊本地裁(遠藤浩太郎裁判長)で第7回口頭弁論が行われた。

 

 福田代表は昨年12月の裁判で傍聴した内容を報告。「商店で物を売ってもらえなかった」「家族の病気を理由に結婚や就職を断られた」など元患者の家族の証言を紹介した。

 

 父親が和光園に入所していた赤塚会長は「父親はすぐそばに住んでいたのに、私も弟2人も、結婚式に父親を呼ぶことができなかった」などつらい経験を語り、「元患者家族は差別や偏見に耐えなければならない状況に追い詰められていた。私自身も無念はいっぱいある」と思いを伝えた。

 

 国は「患者の家族に損害が生じていたとは認められない」という当初からの主張を崩していない。福田代表は「元患者家族に対する社会的差別は現実に存在した」「人として、家族として普通に生きたかったという被害者の思いを国、裁判官に訴え続けていく。そのためにも一般の方にもこの問題を広く知ってもらいたい」と話した。

 

 同訴訟は3月16日に第8回弁論が行われる。