調査の価値・意義、確認 水中遺跡シンポ開催 徳之島3町

2022年10月23日

地域

シンポジウムで水中遺跡の調査の重要性を伝える池田教授=22日、伊仙町伊仙

シンポジウムで水中遺跡の調査の重要性を伝える赤司善彦館長=22日、伊仙町伊仙

【徳之島総局】徳之島3町合同水中遺跡シンポジウム(3町教育委員会主催)が22日、伊仙町の徳之島ほーらい館で開かれた。島内外から約100人が参加。水中遺跡の専門家や3町教委の学芸員らの講演や調査結果をまとめたパネル展示などがあり、島内にある水中遺跡の価値や研究の意義について確認し、理解を深めた。

 

徳之島には伊仙町に面縄港沖海底遺跡があるほか、3町それぞれの海底で船のいかりとして用いられていた碇石(いかりいし)などが確認されている。3町は2019年度から「徳之島三町における文化財関係事業に関する協定」を結び、各町の学芸員らが連携して調査を進めている。

 

また徳之島で11~14世紀に作られていた陶器「カムィヤキ」は九州から南西諸島全域に流通していたことが分かっているが、島のどの港から島外に運ばれたかなど当時の流通についてはよく分かっておらず、島の歴史上で大きな研究課題となっている。

 

シンポジウムではともに水中遺跡の調査の専門家で、徳之島での調査経験もある国学院大の池田榮史教授(67)、大野城心のふるさと館(福岡県大野城市)の赤司善彦館長(65)が登壇。水中遺跡についての概要や国内、島内での調査結果などを紹介した。

 

池田教授は「2018年で水中遺跡の存在を把握している自治体はわずか2割。3町が連携して調査に取り組んでいる徳之島は水中遺跡調査のトップランナーだ」とたたえ、「水中遺跡の調査が進むことで海と島の歴史的な関わりが分かる。考古学、歴史学上で大きな意味がある」と話した。

 

場内には島内の海底調査で見つかった陶器や碇石などの遺物や調査内容をまとめたパネル展示があったほか、講演後は各調査について学芸員や専門家と意見交換できるブースも設けられた。

 

受講した星昌子さん(48)=伊仙町=は「3町が協力して島を挙げて調査していることはとても良いことだと思った。もともと歴史好きだが、カムィヤキの流通の謎については歴史のロマンを感じられる興味深い話だった」と述べた。