鹿児島市で「島尾ミホ展」開催中

2019年10月24日

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写真や日記、小説の草稿など多くの資料が並ぶ島尾ミホ展=18日、鹿児島市のかごしま近代文学館

写真や日記、小説の草稿など多くの資料が並ぶ島尾ミホ展=18日、鹿児島市のかごしま近代文学館

 奄美に縁の深い作家・島尾敏雄の妻で、自身も文筆活動を行った島尾ミホさんの生誕100年を記念する企画展が鹿児島市のかごしま近代文学館で開かれている。島尾作品の多くにモデルとして登場したミホさんの人生をなぞる書物や文章、写真など109点を展示している。2020年1月20日まで。

 

 ミホさんは1919年、瀬戸内町加計呂麻島の出身。太平洋戦争中、同島に第十八震洋隊の隊長として駐屯した島尾と出会い、結婚した。島尾の代表作である「死の棘(とげ)」をはじめ多くの島尾作品で登場人物として描かれた一方、自身も小説「海辺の生と死」や「愛の棘」、「祭り裏」などを執筆した。

 

 企画展では、未完の小説「『死の棘』の妻の場合」の草稿や、東京の日出高等小学校5年生の時に書いた短歌など、ミホさんの作家としての素養を伝える資料のほか、戦時中に加計呂麻島で島尾とやり取りをした往復書簡、「死の棘」に登場する愛人が撮影したとされる島尾の写真なども展示されている。

 

 企画展を主催する同文学館では「ミホさんは島尾敏雄の妻であり、作品の登場人物としてのイメージが強いが、文筆活動でも大いに活躍した。企画展で、人間としての魅力や世界観にも触れてほしい」としている。

 

 期間中は、来年1月4日午後1時半から同館学芸員によるギャラリートーク、同11日午後2時から作家の梯久美子(かけはし・くみこ)氏と中島京子氏のトークイベントもある。