「100年後の島に残す酒を」 西平せれな社長、黒糖焼酎の魅力語る ならでは学舎

2025年01月12日

社会・経済 

黒糖焼酎造りの魅力を語る西平せれな社長=11日、奄美市名瀬の県立奄美図書館

第7回あまみならでは学舎が11日、奄美市名瀬の県立奄美図書館であった。西平酒造4代目の西平せれな社長(37)が「黒糖焼酎で世界と奄美を繋(つな)げる~100年後の島に残すもの」と題して講演した。瀬戸内町立図書館にもオンラインで同時配信され、計50人が参加し、黒糖焼酎業界の現状や酒造りの魅力について学びを深めた。

 

西平さんは奄美市名瀬小俣町生まれで、大島高校卒業後東京の音楽短期大学へ進学。ミュージシャンとしてデビューが決まった2014年に家族の事情で奄美大島へ帰郷。西平酒造に入社し17年に杜氏(とうじ)、21年に同社社長に就任し現在に至る。

 

講演では、沖縄本島の首里で泡盛の酒造免許を取得した1875年からの同社の歴史を紹介。1927年からは喜界島で酒造りを始め、空襲で蔵が全壊した苦難を乗り越え46年に奄美市名瀬へ移転、翌47年から黒糖焼酎の製造を始めたと社史をひもといた。

 

社長に就任後はラベルのデザイン改革や酒造りの目標設定、従業員の労働時間改革など「三つの改革」に挑戦。従業員の日常業務は正午までと決め、正午以降は「未来のために時間を使う」として商品開発やイベントの準備、社員同士の雑談を重要視していると話した。

 

現在は海外でのイベントに参加する他、奄美高校生と協力するプロジェクトを実施していると報告。創業100年を2年後に控え、「島の水と文化を100年後に届ける」を新たなテーマに「100年後に向けて豊かな未来を築きたい」と話した。

 

聴講した奄美市の保育士廣井加奈子さん(61)は「娘が今年二十歳になり、西平酒造の酒を一緒に飲んだ。西平さんが高校生たちと取り組むプロジェクトは、お酒が飲めない人たちへのアプローチ方法を模索する上でいろんな可能性を秘めていると思う」と感想を語った。