内定者が就業体験 大島紬の後継者育成へ インターンシップ事業
2025年01月31日
社会・経済

締機の工程を体験するインターンシップの参加者=29日、奄美市名瀬
本場奄美大島紬の後継者育成を目的とする就業体験(インターンシップ)の2024年度2回目が29日から始まった。来年4月までに奄美大島に移住し、職人を目指して大島紬産業に従事する計4人が参加。2泊3日で各種工程の体験や工房見学、移住に向け賃貸内見などを行う。
インターンシップは、県内の伝統工芸品を対象に県が23年度から始めた事業。ニッポン手仕事図鑑(本社東京都)に業務委託している。奄美大島での実施は今年度が初めて。
1回目は昨年10月に龍郷町浦の前田紬工芸(参加者5人)、11月に奄美市名瀬の田畑絹織物(同6人)でそれぞれあり、このうち各2人の内定が決まった。内定者は今年4月または26年4月から各社に雇用され、本場奄美大島紬産地再生協議会が実施する後継者育成事業の下、締機(しめばた)・図案の工程を中心に3年間修行を積む。
インターンシップ2回目の日程は▽前田紬工芸 29日~31日▽田畑絹織物 30日~2月1日。29日は前田紬工芸から内定を受けた2人が、奄美市名瀬の市産業支援センター内にある本場奄美大島紬協同組合で就業体験を行った。図案に合わせて絹糸の一部を防染するため木綿で織り締める締機の工程を学び、職人の説明に熱心に耳を傾けていた。
東京の服飾系専門学校で織物や生地のデザインなどを学ぶ小口恵泉(めぐみ)さん(20)は26年度から就業予定。「学校で織りをすることもあるが、締機は力の具合が違って新鮮だった。早く職人になって大島紬の魅力を発信したい」と話した。
今年4月から移住し職人を目指す岸涼香さん(23)=神奈川県在住=は「不安はあるが、職人さんたちにたくさんのことを教わり、一人前になれるよう頑張りたい」と意気込んだ。
本場奄美大島紬協同組合の黒田康則理事長は「若い人たちに興味を持ってもらえてうれしい。産地として魅力があるのだと再認識できた。技術を習得して一歩ずつ成長してもらえたら」と語った。