短茎規格促進に専門家助言 花き産地振興でシンポ 沖永良部島

2022年07月04日

社会・経済 

花き産地振興に向けて意見を交わした沖永良部フラワーシンポジウム=2日、和泊町防災拠点施設やすらぎ館

花きの産地振興に向けた沖永良部フラワーシンポジウム(えらぶの花推進協議会、フラワー需給マッチング協議会主催)が2日、和泊町防災拠点施設やすらぎ館であった。初の開催で、従来に比べて茎が短いスマートフラワー規格の普及促進や各種切り花の輸送課題について専門家を招いて意見交換。「生産、流通、小売の3者合意による契約栽培で安定収益」「実需や要望に応えるオーダー規格であることを強力に推進し、安価からの脱却を」などの提言があった。

 

同島では現在、SDGs(持続可能な開発目標)にも関連し、これまでよりも茎を10㌢短くしたスマートフラワー規格によるスプレーギクの栽培技術確立や、ソリダゴ輸送用箱の変更による流通コスト低減への取り組みを進めている。

 

シンポジウムには、島内外の花き生産者や輸送、販売業者、行政担当者、有識者など約90人が参加。

 

農学博士で宇田花づくり研究所(兵庫県)の宇田明代表と、大田花き(本店・東京都)営業本部副本部長も務めるフラワー需給マッチング協議会の大西克典事務局長が講演し、花き市場の現状やスマートフラワー規格の成功の鍵などを助言。宇田代表は、積極的な販路確保の重要性を強調し「生産者は『まな板のコイ』では生き残れない。つくる前に売る。生産、流通、小売の3業種間の合意による契約栽培で、価格変動リスクを排除して」などと訴えた。

 

花きの輸送と販売業者計3社が輸送、販売の現状や課題について情報提供。沖永良部花き専門農協きく部の平山信一部会長が島内の取り組みを報告した。

 

総合討議で沖永良部花き専門農協のテッポウユリ生産者の東寿光さんは「今はスプレーギクが中心だが、今後は他の品目もスマートフラワーの花材になるのか。従来の売り方がいいのか」と質問。大西事務局長は「短くするだけがスマートではない。相手先の要望に応え、できることをやっていく。安定、効率よくというのがスマート規格。当てはまらない品目はない」と答えた。