3町で給食無償化開始 喜界・天城・伊仙 居住地で格差懸念も

2022年04月21日

社会・経済 

子育て世代の支援のため、奄美12市町村のうち、喜界、天城、伊仙の3町が今年度から給食費無償化を開始した(資料写真)

喜界、天城、伊仙の3町は今年度から、各町立小・中学校に通う児童生徒の学校給食費完全無償化を開始した。奄美12市町村では、2016年度から実施している宇検村に続き2番目。子育て世代への経済的支援を図り、子育てしやすい環境づくりを推進する。

 

喜界町は今年度、重点施策の柱の一つに子育て世代への支援を掲げ、①学校給食費の無償化②18歳までの子ども医療費の自己負担分の全額助成③子どものインフルエンザ予防接種費用の一部助成―をスタート。給食費無償化は町内の小学生327人、中学生167人が対象で、当初予算に2774万円を盛り込んだ。

 

伊仙町では教育環境の整備充実策として、保護者の学校給食費の負担軽減を図り、子どもの健やかな成長と子育て支援を推進するため、当初予算に3733万円を計上。町内の小学生451人、中学生222人が無償化の対象だ。

 

天城町は保護者の教育負担の軽減を図り、家庭生活環境の向上と安心して子どもを産み育てやすい環境づくりのため、「共に支える学校給食無償化事業」を掲げた。小学生318人、中学生158人を対象とし、無償化実施に伴う関連費用2750万円を計上している。

 

大和村は小中学生がいる世帯から集金した給食費分を給付する「育児助成金就学援助費」制度を17年度から実施し、実質的な無償化に取り組んでいる。同村担当者は「保護者や子どもたちに、お金を払うことで給食が食べられるという意識付けをするため、一度給食費を納めてもらっている」と説明する。

 

給食費を無償化していない自治体でも、ご飯やパンなど一部を無償化して子育て世代の負担軽減を図っている。

 

龍郷町では21年度、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って減収した子育て世代などの支援を目的に、昨年9月から今年3月までの7カ月間、期間限定で給食費を無償化した。無償化の継続実施について町は「一度無償化をすると、継続して財源確保が必要。多額の予算がかかるため、実現は難しい」と述べた。

 

天城町と伊仙町の給食費無償化に伴い、徳之島では居住する自治体によって保護者の負担格差が懸念される。無償化未導入の徳之島町は「無償化に必要な財源確保が難しく、現時点では近隣自治体と足並みをそろえて給食費の無償化を実施する予定はない。無償化に代わる新たな子育て世代支援策を検討したい」としている。

 

このほかの自治体からは「一度無償化にすると、有料に戻すことができない。多額の財源必要になるので慎重に判断したい」(奄美市)、「子どもたちのために使うべき予算は他にもある。全体のバランスを見て何を無償化にするかが重要」(与論町)などの意見があった。