5年ぶり引き上げ決定 前年比210円増 奄美の生産者歓迎 キビ交付金単価

2018年12月08日

社会・経済 

 農林水産省は7日、来期に収穫される2019年産(19―20年期)サトウキビの農家手取りを構成する生産者交付金(トン当たり)を、18年産比210円増の1万6630円と決めた。14年産以降5年ぶりの増額で、今月30日の環太平洋連携協定(TPP)の発効に伴う措置。国内の生産農家への影響緩和を図る。交付金単価の対象となる基準糖度帯は現行の13・1~14・3度を維持した。

 

 交付金は製糖会社が支払う「原料代」とともに生産農家の手取り額の構成要素となる。政府の予算編成に絡むため、単価は1年以上前倒しして決定される。

 

 19年産の交付金単価は6日にあった自民党小委員会合同会議と7日の公明党農林水産部会で了承され、農水省が正式決定した。

 

 07年産以降の交付金決定状況をみると、国際的な砂糖価格高騰に伴う原料代の値上がりを受け、11、12年産は1万6千円。13年産は、12年産キビが度重なる大型台風の被害を受け不作が見込まれた産地の生産意欲を考慮して320円増額された。

 

 その後も天候不順や病害虫(メイチュウ)被害が相次ぎ不作が続いたため、14年産ではさらに100円増額され、18年産まで維持されてきた。

 

 サトウキビ振興については、台風や干ばつ、病害虫発生などの緊急事態へのセーフティネットとして「さとうきび増産基金」も引き続き措置される。

 

 奄美のサトウキビ生産者は5年ぶりの交付金引き上げを歓迎。喜界町の岩下雅一郎さん(66)は「近年は台風災害での減収傾向にあり、昨年産は糖度が過去最低に落ち込むなど、農家にとっても厳しい状況が続いていた。価格の底上げとなる交付金の増加は大変うれしい。生産者の意欲向上にもつながるのではないか」と語った。