大島高、再び甲子園へ② プロ来島、向上心を刺激

2022年02月10日

スポーツ

横浜DeNAベイスターズの野球教室で、現役のプロ選手から指導を受ける金久中時代の西田心太朗(左、現・大島高2年)=2018年11月10日、奄美市の名瀬運動公園市民球場

今春の選抜高校野球大会に出場する県立大島高校(奄美市名瀬)の現1、2年生が小、中学時代を過ごした2010年代、奄美市ではプロ野球・横浜DeNAベイスターズ(旧・横浜ベイスターズ)の秋季キャンプが行われていた。地元の子どもらを対象に野球教室も開催され、プロの技と力を肌で感じる経験は球児の向上心を刺激した。

 

■ベイスターズキャンプ

 

ベイスターズの秋季キャンプは2010~19年に実施。毎年、若手選手ら球団関係者数十人が来島し、オフシーズンのケアや体力強化に取り組んでいた。

 

奄美キャンプ実施決定を受け、市側は練習の拠点となる名瀬運動公園市民球場を改修。ブルペン(投球練習場)など関連施設も整備し、市内に「プロ仕様」の練習環境を整えた。

 

球団側は当初から、地元の子どもたちを対象に野球教室を開いてきた。奄美市内外の野球少年らは一流選手の投球や守備、打撃を目の当たりにし、レベルアップを胸に誓った。

 

大島高野球部の武田涼雅主将(2年)は18年、朝日中野球部主将として同球団の野球教室に参加。当時の取材に「憧れのプロに教えてもらい、うれしかった」と答えている。

 

同球団の新施設(神奈川県横須賀市)完成に伴い、奄美キャンプは19年秋で終了したが、球団から奄美市を通じて子どもたちにグッズがプレゼントされるなど、交流は続いている。

 

■名選手と交流

 

18年、奄美市では往年の名投手・村田兆治さん=当時(69)=ら元プロ野球選手との交流イベント「ドリーム・ベースボール」が開かれた。村田さんは全国離島交流中学生野球大会(通称・離島甲子園)の提唱者でもある。

 

同市でのドリーム・ベースボール開催は06年以来12年ぶりだった。子ども対象の教室のほか、元プロ野球選手チームと奄美市選抜(社会人)チームによる親善試合などもあった。

 

元プロ野球選手約20人の中には、読売ジャイアンツなどで投手として活躍し、08年に引退した桑田真澄さん=当時(50)=の姿も。親善試合で圧巻の投球を披露し、観衆を魅了した。

 

野球教室には、奄美大島内外の小中学生約300人が参加。当時、金久中1年で取材に「今日の経験を今後に生かしたい」と話していた泊雄太は現在、大島高野球部の1年生だ。

 

■意識変化

 

冬季も(本土より)温暖な奄美市は例年、延べ1万人前後がスポーツ合宿で訪れる。野球は社会人、高校部活動各チームのほか、プロ野球選手が個別に自主トレを行うケースもある。

 

大島高野球部で捕手を務める西田心太朗(2年)は中学時代までに、ベイスターズの野球教室や18年に開かれたドリーム・ベースボールなど、一流選手から直接指導を受ける機会を何度か経験していた。

 

それらを振り返り、西田は「自分は捕手としては手足が長く、身体の扱いづらさをずっと感じていた。プロから一対一で教わることでその意識が変わり、得意だったキャッチングもより上達した」と語った。